北条重時

北条重時：鎌倉幕府を支えた名連署

北条重時（ほうじょう しげとき）は、鎌倉時代前期に活躍した武士であり、鎌倉幕府2代執権・北条義時の三男として生まれました。母は比企朝宗の娘・姫の前。彼は極楽寺流北条氏の祖であり、第8代執権・北条時宗の母方の祖父にあたります。

生涯

若年期

建久9年（1198年）に鎌倉で生まれた重時は、6歳の時に比企能員の変を経験し、母方の比企一族が北条氏によって滅ぼされるという悲劇に見舞われました。母はその後、義時と離婚し上洛。重時は10歳の時に母を亡くしています。少年時代は必ずしも恵まれた環境ではなかったようです。

六波羅探題

承久元年（1219年）に小侍所別当に就任し、貞応2年（1223年）には駿河守となります。寛喜2年（1230年）には六波羅探題北方に就任し、17年もの間、京都において幕府の最高責任者として職務を遂行しました。

仁治3年（1242年）には、後嵯峨天皇の擁立に関与し、執権・北条泰時の病により鎌倉へ帰還を命じられます。泰時の死後、再び六波羅探題として政務に当たりました。

寛元4年（1246年）の宮騒動では、前将軍・藤原頼経が京へ送還される事態が発生。重時は、北条時頼からの書状を後嵯峨上皇に奏上するよう要請し、幕府と上皇の間を取り持ちました。

連署就任と晩年

宝治元年（1247年）の宝治合戦後、重時は鎌倉へ戻り、連署に就任。執権・北条時頼を補佐しました。建長8年（1256年）に出家し、極楽寺に隠居。連署の職は弟の北条政村に譲りました。

弘長元年（1261年）に病に倒れ、同年11月3日に極楽寺別業にて死去。享年64歳でした。

人物像と評価

重時の政治姿勢は、浄土宗の影響を受けた撫民思想に基づいたものであり、幕政の安定に大きく貢献しました。六波羅探題時代には、在京御家人の乱行を減らし、迅速かつ公平な職務遂行で評価を高めました。日蓮も、重時個人については「極楽寺殿はいみしかりし人」と評しています。

研究者によって重時の人物像に対する評価は分かれており、激情家であったとする説や、配慮の利く慎重な人物とする説、温厚な穏健派とする説などがあります。

石井清文は宝治合戦において、重時が表向きは動きを見せなかったものの、鎌倉・京都両方に広がる自分の人的つながりを活用して有利な政治情勢を作りだしたと指摘しています。

また、北条氏の嫡流である得宗家を絶対視せず、あくまでも実績で評価する姿勢を持っていました。

重時は息子たちの結束を固くすることを説いた家訓を残しており、その結果、息子たちは大きな争いを起こすことなく、北条家を支え続けました。

文化的な側面

和歌にも才能を発揮し、『玉葉和歌集』や『千載[[和歌集]]』に歌が収録されています。藤原定家とも親交があったとされています。著作としては、『六波羅殿御家訓』や『極楽寺殿御消息』が知られています。

北条重時の家系

重時の長女である葛西殿は、北条時頼の正室となり、後の8代執権北条時宗を生みました。そのため、時宗以降の得宗家およびその子孫は重時の血筋を引いています。また、最後の執権・赤橋守時や、足利尊氏の正室赤橋登子も重時の血筋にあたります。足利将軍家、関東公方家も同様です。

まとめ

北条重時は、鎌倉幕府の要職を歴任し、幕政の安定に大きく貢献した人物です。彼の政治手腕や人物像は、多くの研究者によって評価されており、鎌倉時代の歴史を理解する上で欠かせない存在と言えるでしょう。

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