小倉蒼蛙

小倉 蒼蛙（おぐら そうあ）は、1951年10月29日生まれの日本の表現者です。俳優、俳人、歌手、そして元子役として、多岐にわたる分野で才能を発揮しています。かつては小倉 一郎の芸名で広く親しまれ、作詞・作曲の際は秋山 啓之介というペンネームを用いていました。

出生地は東京新宿ですが、幼少期に両親の故郷である鹿児島県へ移り、その後再び東京の中野区、板橋区と成長の地を移しました。日本大学豊山高等学校を中退しています。現在は大判社に所属しています。2023年には、大病であるがんを克服したことを機に、自らの俳号でもあった小倉 蒼蛙へと芸名を変更。これは、病を乗り越え、生まれ変わったという強い思いの表れです。

子役としてのキャリアは、小学校3年生の頃に中村錦之介や大川橋蔵といった時代劇スターに憧れ、東映のエキストラになったことから始まります。9歳だった1960年には本格的に子役活動を開始し、1962年の美空ひばり主演映画『べらんめえ芸者と大阪娘』や、内田吐夢監督の1964年作品『飢餓海峡』などに出演。また、この時期に住んでいたアパートで梅宮辰夫と出会い、彼の勧めにより東映児童研修所の第5期生となります。しかし、当時の東映が「不良性感度映画」路線に傾倒したため、小倉氏の持つキャラクターが活かせる場は少なく、1964年公開の日活映画『敗れざる者』で本格的な俳優デビューを果たしました。恩人である梅宮氏とは、その後の作品で共演はありましたが、役者として直接芝居を交わすシーンは最後まで実現しませんでした。

1960年代後半から1970年代にかけての青年期には、テレビや映画の青春ドラマに数多く出演。ナイーブで繊細な青年役を得意とし、同世代の女性視聴者からも高い支持を得ました。以来、長年にわたり「名バイプレイヤー」として、脇役ながらも作品に深みを与える存在として多くの映画やテレビドラマで活躍しています。

俳優業のかたわら、多角的な才能を発揮しています。秋山 啓之介名義では童謡作家として活動し、NHKの『みんなのうた』で放送された「ぼくのにっきちょう」では、作詞・作曲から歌唱まで自ら手掛けました。また、1997年に出演した舞台をきっかけに俳句の世界に入り、河内静魚に師事。俳人としても頭角を現し、NHKの『ひるまえほっと』内の「ひるまえ俳句茶房」コーナーを担当するなど、その活動は広く知られるようになりました。

地域貢献にも取り組み、2010年には薩摩川内観光大使に任命されています。さらに、音楽活動にも意欲的で、2019年7月には江藤潤、仲雅美、三ツ木清隆と共に4人組音楽ユニット「フォネオリゾーン」を結成し、CDデビューを果たしました。

私生活においては、波乱万丈の人生を送っています。1973年に女優の海野まさみと結婚しますが、わずか2ヶ月半で離婚。1977年にモデルクラブのマネージャーと再婚し、1男3女をもうけましたが、妻の政治活動によるすれ違いから1999年に2度目の離婚を経験しました。離婚後も前妻の政治活動を支援していた時期があります。2006年には、1970年代にアイドル歌手として活動していた谷ちえ子と結婚。しかし、約3年間の別居期間を経て、2015年7月に離婚に至ります。そして2017年、長年の時を経て初恋の相手と結ばれるという、劇的な再々婚を果たしました。

また、早くから家族との別れを経験しています。4人兄弟の末っ子として生まれ、生後1週間で母を亡くしました。生まれる前には双子の兄が事故で亡くなり、16歳の時には姉も脳腫瘍で他界。父親も病気がちで入退院を繰り返し、33歳という若さで交通事故によりこの世を去っています。

趣味・特技は作曲、ギター演奏、篆刻、俳句に加え、大阪弁や京都弁を話せることも特技の一つです。俳号である「蒼蛙」は、作家で脚本家の早坂暁氏から授けられた名前であることが、著書の中で明かされています。俳優の仲雅美、志垣太郎、そして三浦友和とは、かつて飲み歩く親しい友人関係にありました。歌手の森進一とは、互いの曾祖母が姉妹という血縁関係にあります。

2022年にはステージ4の肺がんと診断されるという試練に見舞われますが、放射線療法と抗がん剤治療を組み合わせた懸命な治療により、これを克服。この経験が、2023年の改名へと繋がりました。

現在も、俳優としての活動を中心に、俳句や音楽など、様々な表現活動を精力的に続けています。その波乱に富んだ人生経験と多彩な才能は、多くの人々に感銘を与えています。

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