小倉貴久子

小倉貴久子（おぐら きくこ、1967年9月15日 - ）は、日本を代表するフォルテピアノ奏者として知られています。岩手県一関市に生まれ、東京藝術大学を経て同大学大学院ピアノ科を修了。その後、アムステルダム音楽院を特別栄誉賞"Cum Laude"を得て首席で卒業しました。

1995年、ブルージュ国際古楽コンクールのフォルテピアノ部門で第1位と聴衆賞を受賞。この受賞をきっかけに、彼女の名前は国際的に広く知られるようになりました。バロック音楽から現代音楽に至るまで、非常に幅広いレパートリーを持ち、ソロ演奏はもちろんのこと、アンサンブルを含む多彩なコンサート活動を展開しています。教育者としても活動しており、東京藝術大学古楽科の非常勤講師、東京音楽大学の講師（2021年～）を務めています。

小倉貴久子は、これまでに50点以上のCDをリリースしており、その多くが各方面から推薦盤・特選盤として高い評価を受けています。2013年には《輪舞（ロンド）〜モーツァルトの輝き〜》を発表し、好評を博しました。

2018年からは、「フォルテピアノ・アカデミーSACLA」を主宰し、アカデミックな場だけでなく、より開かれた環境でフォルテピアノをはじめとする歴史的な鍵盤楽器に触れる機会を提供しています。それぞれの楽器が生まれた時代背景を踏まえた音楽に触れることができる場として、多くの人々に親しまれています。

受賞歴

第3回日本モーツァルト音楽コンクール ピアノ部門第1位
1993年ブルージュ国際古楽コンクール アンサンブル部門第1位
1995年ブルージュ国際古楽コンクール フォルテピアノ部門第1位および聴衆賞
平成24年度文化庁芸術祭レコード部門〈大賞〉（CD《イギリス・ソナタ》）
2017年度第30回ミュージック・ペンクラブ音楽賞【独唱・独奏部門賞】
2018年ENEOS音楽賞洋楽部門（奨励賞）
令和３年度「下總皖一音楽賞」

コンサート・アカデミー

小倉貴久子は、以下のような独自のシリーズコンサートも展開しています。

『音楽の玉手箱』：様々な編成で、知られざる作品を積極的に取り上げ、テーマとバラエティーに富んだ内容で楽しめる室内楽シリーズです。
『ベートーヴェンをめぐる女性たち』：ピアノを弾きながら女性に愛を語ったベートーヴェンに焦点を当て、彼のピアノ音楽の成立に深く関わった女性たちの影響を探るシリーズです。
『パトロンシリーズ』：作曲家を経済的、精神的に支えたパトロンの功績を称え、芸術作品の本質に迫るシリーズです。
『モーツァルトの生きた時代』：モーツァルトを取り巻く環境を探り、当時の空気感を再現することを目指したシリーズです。
『モーツァルトの世界』：ソロ、室内楽、協奏曲という3つの形態からモーツァルトの魅力に迫るコンサートです。
* 『モーツァルトのクラヴィーアのある部屋』：モーツァルトと同時代の作曲家に焦点を当てたコンサートで、毎回ゲスト演奏家を迎え、近江楽堂と第一生命ホールで開催されました。

2012年からは、モーツァルトとその周辺の作曲家たちの作品を取り上げるシリーズコンサート「小倉貴久子の《モーツァルトのクラヴィーアのある部屋》」を開催し、2019年12月の第40回公演をもって終了しました。2020年11月からは、新シリーズ「小倉貴久子《フォルテピアノの世界》」をスタートさせ、「さまざまな時代や地域で生まれた作品を、当時のフォルテピアノで楽しいトークとともにお届けします！」というコンセプトのもと、幅広い時代のフォルテピアノや同時代に演奏された鍵盤楽器（チェンバロ、タンゲンテンフリューゲル、クラヴィコード等）を使用し、独奏や室内楽の公演を行っています。

2018年7月より、さいたま市で『フォルテピアノ・アカデミー』を開催しており、2022年には第4回を迎え、現在も継続中です。

小倉貴久子は、演奏家としてだけでなく、教育者、研究者としても多岐にわたる活動を展開し、フォルテピアノ音楽の普及と発展に大きく貢献しています。

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