小切戸川

小切戸川（おぎりどがわ）とその周辺河川

小切戸川は、愛知県あま市・海部郡大治町を流れる、日光川水系の二級河川です。蟹江川を経て日光川に合流する、全長約4.7kmの河川です。

地理

小切戸川は、あま市七宝町秋竹北部で福田川と隣接する地点に端を発します。福田川と蟹江川の間を南に流れ、あま市七宝町鯰橋付近で蟹江川に合流します。

かつて小切戸川の上流部は、福田川を伏せ越しで繋がっていました。しかし、福田川東岸に排水機場が設置されたことで、常時排水が可能となり、伏せ越しは撤去されました。福田川東岸には、かつての小切戸川上流部として、西條小切戸川と円楽寺川が存在します。西條小切戸川は、愛知県が管理する河川として2011年3月に新たに登録されました。その最上流部には、大治町が管理する「小切戸川」の区間が残っています。

西條小切戸川と円楽寺川

西條小切戸川はあま市甚目寺付近、円楽寺川は海部郡大治町の大治浄水場付近に端を発しています。

歴史

江戸時代初期まで、小切戸川は戸田川などとともに庄内川西岸の派川として流れていました。小切戸川の北から西を流れる大切戸川と合流し、伊勢湾に注いでいました。現在の庄内川西側を南北に流れる新川・福田川・蟹江川・日光川は、17世紀中ごろ以降に人工的に開削・整備された河川です。小切戸川が現在の河道形状に至るまでには、数度の大規模な河川改修がなされました。

日光川の開削

小切戸川に最初に影響を与えた改修工事は、日光川の開削です。「御囲堤」の建造により木曽川や佐屋川の河床が上昇し、佐屋川支流の天王川などの排水に支障が生じたため、1667年に三宅川合流点以下の日光川が開削されました。日光川の下流側は、小切戸川・大切戸川の河口部に繋がるように整備され、その過程で大切戸川が分断されました。

蟹江川・福田川・新川の整備

小切戸川の東西を流れる蟹江川・福田川、そして庄内川西岸に沿う新川は、ほぼ同時期に整備されました。1785年までに大江川を小切戸川に繋げるように延長したものが蟹江川、1787年までに庄内川西岸の水害対策として開削されたものが新川、1796年までに農業用排水路を拡幅する形で整備されたものが福田川です。これらの河川によって、小切戸川や戸田川は庄内川から切り離されました。また、新河道の開削によって、旧小切戸川などの河道が分断されました。小切戸川と福田川の伏せ越しも、福田川整備と同時に建造されました。

現在の河川状況が完成したのは、日光川の完全な付け替えや河口部の新田開発が完了する1800年前後です。小切戸川は蟹江川の支流として現存しますが、大切戸川は幅2メートル程度の農業用排水路や住宅街が残るのみとなっています。

このように、小切戸川とその周辺河川は、地域の開発や治水対策と深く関わりながら、その姿を変えてきました。

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