小呂島

小呂島の概要

小呂島（おろのしま）は、福岡県福岡市西区に位置する離島です。この島は玄界灘の上にあり、面積は約0.43km²で、筑前諸島地域の一部として離島振興の施策が展開されています。人口は2023年1月末時点で156人です。

地理

小呂島は約3.3kmの周囲を持つ孤立した島で、その基盤は玄武岩で形成されています。南北に2つの峰があり、南の最高峰は109.3mで、嶽の宮神社が位置します。島の周囲には玄武岩の断崖が立ち並び、海蝕洞もいくつか見られます。南端には岩礫で形成された平地があり、そこに集落が存在しています。

島は対馬暖流の影響を受け、比較的温暖な気候です。特に嶽の宮神社の境内には、ソテツやビロウ、フェニックスといった熱帯性植物が豊かに生育しています。小呂島は松林で覆われており、中央部から南部にかけては畑地や広葉樹林も広がっています。

歴史

小呂島の名前は鎌倉時代の文献に現れます。当時、島は宗像大社の社領として重要な地位を持っていました。中国系の博多商人謝国明が島の所有権を主張し、領地争いが起きました。この争いは中世の島の重要性を特に示しています。

近世にはほとんど無人島状態でしたが、1645年に福岡藩が漁業権を獲得し、漁民を移住させることで住民が定着しました。藩政時代には捕鯨が試みられましたが、自然災害により失敗しました。また、重罪者の流刑地としても利用され、ここに設置された監視役が後の集落形成に寄与しました。

近現代には、1931年から1940年にかけて要塞が築かれ、多数の兵士が駐留しましたが、1945年の米軍の空襲により多くの家屋が焼失しました。小呂島は1889年からの町村制施行により、幾つかの行政区に属し続けて、1961年に福岡市に編入されました。

産業

小呂島の住民の大半は漁業を主な生計としています。5月から12月までは旋網漁、1月から4月までは個人漁が行われることで、ブリやアジ、ヒラメ、カレイなどの多種の魚が捕れます。また、最近では漁業の6次産業化に取り組み、漁獲したヤズをフレーク状に加工し販売する新たな試みも行っています。

施設と交通

名所としては、嶽の宮神社や七社神社、旧海軍望楼跡がありますが、観光客は少なく、主に釣り目的で訪れる人々が多いです。また宿泊施設もほとんど存在しないため、訪問者はテントや寝袋を持参することが求められます。島内には福岡市立小呂小中学校があります。

交通面では、九州本土の姪浜渡船場との間で、定期的に運航される高速船があります。そこからアクセスできるため、日帰りでの訪問も可能です。漁業のための物資運搬も市営渡船に依存しており、特に「ニューおろしま」という船が活躍しています。

祭り

地域の祭りとして、毎年7月15日に行われる小呂島祇園山笠が有名で、令和2年には無形民俗文化財にも指定されました。この祭りは、福岡本土の博多祇園山笠と異なり、朝夕の2回行われることが特徴です。毎年8月18日には、地域の小学生による伝統的な舞いも行われ、地域文化の継承が行われています。

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