謝国明

謝国明（しゃこくめい）

謝国明は、生年不詳ながら鎌倉時代中期に活躍した貿易商人であり、南宋（中国）出身の人物です。博多に拠点を置き、日宋[[貿易]]を積極的に展開したことで知られています。

生涯

謝国明は、南宋の臨安（現在の杭州）の出身で、後に日本に帰化し、「謝太郎国明（くにあき）」と名乗りました。日本人女性と結婚し、息子もいたとされています。

彼は、大宰小弐の武藤資頼・資能親子からの信頼が厚く、筥崎宮や宗像神社といった有力な社寺からも支持を得ていました。博多における宋商のリーダー的存在として、経済活動を牽引していました。

私邸は櫛田神社周辺に構えていたとされ、その影響力の大きさをうかがわせます。

謝国明は、禅宗の高僧である円爾（聖一国師）に深く帰依し、仁治3年（1242年）には円爾を開山として承天寺を建立しました。この承天寺は、禅宗をはじめとする南宋の文化を博多に広める拠点となりました。また、箱崎宮領であった筑前国那珂郡の野間・高宮・平原の土地を買い取り、承天寺に寄進するなど、寺の運営を支援しました。

さらに、円爾が南宋で修行した径山万寿禅寺が火災で焼失した際には、円爾の依頼に応じ、材木1,000板を送っています。この功績に対し、無準師範から礼状（国宝「板渡しの墨蹟」）が贈られました。

建長4年（1252年）には、宗像大社の社領であった小呂島を巡り、妻の地頭を名乗って領有権を主張したことが原因で、宗像大社との間で領地争いが起こりました。この件で、幕府から戒告処分を受けています。その後、小呂島の領有権は宗像大社に帰属しました。

謝国明の没年については、弘安3年（1280年）に88歳で死去したという説がある一方で、建長5年（1253年）の史料に「遺領」などの表現が見られることから、実際にはそれ以前に亡くなっていた可能性が高いと考えられています。

承天寺の東約200メートルの場所には、謝国明の墓と伝えられる場所があり、そこには大きな楠の木が立っています。このことから、彼は「大楠様」として地元の人々から親しまれています。

現在でも、毎年8月21日には、謝国明を偲んで「大楠様千灯明祭」が開催されています。

博多の伝承における謝国明

謝国明は、博多の伝承において、唐鋏を日本に伝えた人物としても語り継がれています。この唐鋏は、後に博多鋏へと発展したとされています。

また、年越し蕎麦や鍼の元祖であるという伝承も残っており、博多の食文化や医療文化のルーツを語る上で、重要な人物として認識されています。

関連作品

2001年のNHK大河ドラマ『北条時宗』では、北大路欣也が謝国明を演じました。このドラマでは、弘安の役（1281年）や北条時宗の死去（1284年）の頃も謝国明が健在であるという設定になっています。

まとめ

謝国明は、鎌倉時代中期に博多で活躍した貿易商人であり、南宋との貿易を通じて博多の経済発展に大きく貢献しました。禅宗文化の導入や寺院建立への貢献も大きく、その足跡は現在も博多の人々に敬愛されています。また、博多の文化や伝承においても重要な役割を担う人物として語り継がれています。

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