小坂川健三郎

小坂川 健三郎（こさかがわ けんざぶろう）は、1921年（大正10年）5月30日に秋田県鹿角郡小坂町で生まれた元大相撲力士である。本名は葛西 健三郎（かさい けんざぶろう）。現役時代の体格は身長177cm、体重98kgであった。右四つからの寄りや投げを得意手としていた。キャリアの大部分を立浪部屋で過ごしたが、入門時は春日山部屋に籍を置いていた。最高位は西前頭17枚目であり、二度その地位に就いた経験を持つ（1949年〈昭和24年〉10月場所および1952年〈昭和27年〉9月場所）。

来歴

地元の小学校を卒業後、小坂川は故郷の鉱山で働いていた。しかし、1936年（昭和11年）秋に相撲の世界を志し、春日山部屋への入門を決意する。翌1937年（昭和12年）5月場所に番付外で初土俵を踏んだ。そして1938年（昭和13年）1月場所、序ノ口に昇進する際に、故郷である小坂町の地名にちなんだ「小坂川」という四股名を名乗った。この四股名は、彼が1955年（昭和30年）3月場所限りで現役を終えるまで、一度も変更されることはなかった。

戦時下の試練と部屋移籍

順調に出世の階段を上っていたかに見えた小坂川だが、幕下時代の1942年（昭和17年）に国家による召集令状を受け取り、戦地へ赴くこととなった。これにより、彼の力士としてのキャリアは約4年間という長い中断を余儀なくされる。このブランクは、当時の多くの力士と同様に、彼のその後の出世に大きな影響を及ぼすこととなった。終戦による復員後、小坂川は春日山部屋から立浪部屋へと所属を移し、再び土俵へと戻ってきた。

十両昇進、そして幕内へ

立浪部屋に移籍し、捲土重来を期した小坂川は、戦後復興期にあたる1947年（昭和22年）6月場所において、ついに十両への昇進を果たした。そして、さらに研鑽を積み重ね、1949年（昭和24年）10月場所で念願の新入幕を果たす。幕内には通算で5場所在位したが、残念ながら一度も勝ち越しを経験することはできなかった。幕内での最高成績は、二度の7勝8敗であり、あと一歩で勝ち越しという壁を破ることはできなかった。

現役晩年と引退

1953年（昭和28年）1月場所を最後に幕内から遠ざかった小坂川は、その後しばらく十両の地位を維持した。しかし、1955年（昭和30年）3月場所で幕下に陥落したのを機に、この場所限りで現役を引退することを決意した。初土俵から約18年間の力士生活に幕を閉じたのである。

引退後の消息

角界を去った後の小坂川の消息は長らく不明である。しかし、1971年（昭和46年）に発行された相撲関連の雑誌記事において、既に死去していたと記されているという情報がある。具体的な没年や死因など、詳細な状況は現在も明らかになっていない。

主な戦績

通算成績: 197勝214敗21休（勝率.479）
幕内成績: 25勝50敗（勝率.333）
現役在位場所数: 36場所（番付外1場所を含む）
幕内在位場所数: 5場所

得意手は右四つ、寄り、投げであった。

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