小山車両センター

栃木県下野市に位置する小山車両センターは、東日本旅客鉄道（JR東日本）首都圏本部の管轄下に置かれている大規模な車両基地です。

概要

小山車両センターの起源は、旧国鉄高崎鉄道管理局宇都宮運転所の電車車庫として、東北本線の中距離電車（現在の宇都宮線）のために計画されたことに遡ります。当初は宇都宮市郊外や石橋・雀宮間などで建設が検討されましたが、いずれも地元住民の反対に遭いました。最終的に間々田駅付近と小金井駅付近が候補となり、誘致競争の結果、小金井駅近くに開設される運びとなりました。開設当初は「小山電車区」という名称で、2004年（平成16年）に現在の小山車両センターへと改称されました。

組織としては、開設当初は高崎鉄道管理局、その後東京北鉄道管理局、JR東日本への移管を経て東京圏運行本部（後の東京地域本社、東京支社）、大宮支社と管轄が変更され、それに伴い略号も「高ヤマ」から「北ヤマ」、「東ヤマ」、「宮ヤマ」、そして現在の首都圏本部を意味する「都ヤマ」と変遷してきました。かつては東大宮操車場内に東大宮派出所がありましたが、2006年（平成18年）に大宮総合車両センターの管轄に移管され、小山車両センターからは分離されています。

構内設備

小金井駅から自治医大駅にかけての広大な敷地を持つこの車両基地は、開設当初から多数の車両を収容できる能力を備えていました。主な業務は、所属車両の日常的な検査や機能維持、車輪のメンテナンス（転削）、故障対応、そして小金井駅で行われる列車の分割・併合作業などです。

構内は以下の設備で構成されています（宇都宮線上り線側からの配置）：

電留線: 12線（1区・2区に分かれ、縦列留置が可能）と別途2線（洗浄線に隣接）。合計14線で多数の車両を留置できます。
洗浄線: 3線が設けられており、車両の洗浄作業が行われます。
交番検査線: 3線があり、定期的な検査（交番検査）や機能保全のための庫が設置されています。12両編成に対応しています。
転削線: 1線が整備されており、車輪転削盤を備えています。有効長の制約から、長編成の場合は分割して作業が行われます。
修繕線: 2線が設けられ、車両の修理や機器交換のための検修庫があり、天井クレーンやリフティングジャッキを備えています。

また、上り線の入出区線には、通過する車両を自動的に洗浄する車両洗浄機が設置されています。

現在の配置車両

2024年4月1日現在、以下の電車形式が配置され、首都圏の主要な通勤・近郊輸送を担っています。

E231系1000番台: 10両の基本編成49本と5両の付属編成35本、合計665両が所属しています。基本編成には2両のグリーン車が連結されています。宇都宮線、高崎線、上越線、両毛線、湘南新宿ライン、上野東京ライン、東海道線（沼津まで）、伊東線、横須賀線（逗子まで）といった広範囲で活躍しています。一部の編成は、更新された旅客案内表示器やドアランプを備えています。
E233系3000番台: 10両の基本編成16本と5両の付属編成18本、合計250両が所属し、基本編成に2両のグリーン車を連結しています。多くが高崎車両センターから転入した車両です。E231系と共通運用されており、両形式を連結した運用も行われています。
E131系600番台: 3両編成15本、合計45両が配置されています。2022年より日光線と宇都宮線（小山～黒磯間）でワンマン運転に対応して投入されました。両路線で共通運用され、ラッシュ時には6両編成での運転も見られます。
EV-E301系（ACCUM）: 蓄電池駆動システムを採用した2両編成4本、合計8両が配置されています。宇都宮線（宇都宮～宝積寺間）と烏山線で運用される「ACCUM」の愛称を持つ車両です。

これらの車両は、「都ヤマ」という略号が記されています。

かつて配置されていた車両

開業以来、様々な形式の車両が配置され、運用を終えたり、他区所へ転属したりしています。

40系: 日光線で活躍した旧型国電。一部は保存されています。
211系: 3000番台が配置されていましたが、E231系の投入により新前橋電車区へ転出しました。
113系: 短期間、横須賀・総武快速線用編成が転入し、宇都宮線で運用されましたが、E231系導入に伴い廃車または転出しました。
189系「彩野」: 観光・臨時列車用としてリニューアルされた編成が配置されていましたが、大宮総合車両センターへ転属しました。
115系: かつて宇都宮線・高崎線の主力であり、最盛期には多くの車両が所属しました。定期運用終了後も予備・訓練用として残存しましたが、最終的に廃車されました。
107系: 日光線・宇都宮線で運用された2両編成の車両でしたが、2013年に運用を終え廃車されました。
205系600番台: 日光線・宇都宮線で運用されましたが、E131系への置き換えにより2022年に営業運転を終了し、その後廃車されました。
485系: お座敷列車の「宴」「華」や、特急「日光」「きぬがわ」用編成が配置されましたが、それぞれ高崎車両センターや仙台車両センターへ転出しました。
クモヤ145形: 構内での車両移動に使用される牽引車。
E995系「NE Train スマート電池くん」: 蓄電池駆動電車の試験車両として開発・配置されましたが、試験終了後に廃車されました。
クモエ21形: 事故発生時などに使用される救援車。配置されていたクモエ21001は廃車後、近くの公園に保存されています。
キハ40形: 烏山線で運用されていた気動車ですが、EV-E301系への置き換えにより配置が無くなりました。

これらの他にも、検修や留置のために他区所から入線する車両も見られます。

運用区間

小山車両センター配置車両は、以下の広範な区間で定期運用を担っています。

上野東京ライン・宇都宮線（東京 - 黒磯間）
日光線（宇都宮 - 日光間）
烏山線（宇都宮 - 烏山間）
高崎線・上越線・両毛線の一部区間（大宮 - 高崎 - 前橋間）
湘南新宿ライン（宇都宮 - 逗子間）
* 東海道線・伊東線の一部区間（東京 - 熱海 - 伊東、熱海 - 沼津間）

過去にはJR東武直通特急の運用も受け持っていました。

小山車両センターは、首都圏北部・近郊の鉄道輸送を支える重要な拠点として機能しています。

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