宇都宮運転所

宇都宮運転所（うつのみやうんてんしょ）は、東日本旅客鉄道（JR東日本）大宮支社の管轄下にあった組織で、主に運転士が所属していました。栃木県宇都宮市の宇都宮駅に隣接する敷地に位置しており、その歴史は130年以上に及びますが、2022年3月11日限りで組織としての役割を終え廃止されました。現在は、宇都宮運輸区を経て、宇都宮統括センターの乗務ユニットとしてその機能の一部が継承されています。

沿革

宇都宮運転所の源流は、1885年7月16日に開設された宇都宮機関庫に遡ります。これは、現在の東北本線大宮〜宇都宮間の開業に合わせて設置されたもので、当初から東北本線宇都宮地区の車両基地として、旅客車両や機関車、そして運転士が配置される重要な拠点でした。その後、1936年9月には宇都宮機関区と名称が改められ、さらに戦後の1961年11月1日に現在の宇都宮運転所となりました。この改称時には、白河機関区やその黒磯支区が統合されるなど、組織の再編も行われています。管轄組織も時代と共に変化し、国鉄時代は高崎鉄道管理局や東京北鉄道管理局の管轄を経て、JR東日本発足後は東京圏運行本部（後の東京支社）の管轄となり、2001年からは大宮支社の管轄となりました。鉄道運行形態の変化に対応しつつ、組織としての形を変えながら機能し続けましたが、2017年3月4日のダイヤ改正をもって車両の配置がなくなり、運転士が所属する組織として存続していました。最終的には、2022年3月12日に宇都宮運輸区と統合されて組織としての宇都宮運転所は廃止され、さらに2024年3月16日には宇都宮運輸区が宇都宮営業統括センターと統合し、宇都宮統括センター乗務ユニットの一部となりました。

敷地の変遷

宇都宮運転所の敷地は、開設当初は宇都宮駅の東側に沿って広がる大規模なものでした。多数の留置線や転車台、機関車格納庫などを備え、多くの車両を取り扱う能力を持っていました。しかし、東北本線の電化や東北新幹線の開業、貨物輸送体系の変化など、鉄道の運行形態が大きく変わるにつれて、その規模は徐々に縮小されていきました。かつて広大な敷地の一部は撤去・売却され、現在は宇都宮駅東口の再開発事業用地として活用されています。この跡地には、コンベンションセンター「ライトキューブ宇都宮」やショッピングセンター「ウツノミヤテラス」などの新たな施設が建設されています。ただし、一部の敷地、特に北側の留置線やかつて貨物ホームとして使われていた場所の一部は現在も残り、宇都宮線や日光線で運用される車両の留置場所として利用されています。

車両配置の歴史

宇都宮運転所は、かつて東北本線でも有数の車両配置区所として重要な役割を担っていました。最盛期には、D51形やC57形といった蒸気機関車、EF57形やEF58形などの電気機関車、80系や115系といった電車など、多岐にわたる形式の車両が数十両も配置され、東北本線の輸送を支えました。特に115系電車は、全国で初めて当所に配置された形式であり、EF65形1000番台（PF形）も多数所属し、寝台特急「あけぼの」などの優等列車の牽引も行っていました。時代の移り変わりと共に配置車両は変化し、晩年（2017年3月まで）には烏山線用のキハ40形気動車や、ディーゼル機関車のDE10形・DE11形など、比較的少数の計21両が配置されるにとどまっていました。そして、2017年3月4日のダイヤ改正をもって、宇都宮運転所から全ての車両配置がなくなり、車両基地としての機能は完全に終了しました。ただし、前述の通り、敷地の一部は現在も他の車両の留置線として使われています。

略号

宇都宮運転所に配置されていた車両には、所属を示す略号として、旅客車には「宮ミヤ」、機関車には「宇」が記されていました。「宮ミヤ」は、管轄である大宮支社の「宮」と宇都宮の「ミヤ」を組み合わせたものです。「宇」は宇都宮を意味しています。

ゆかりの車両の保存

宇都宮運転所に配置されていた車両の一部は、現在も各地で保存されています。例えば、敷地内にはかつて配置されていたEF57形電気機関車の動輪が保存されています。また、宇都宮駅東公園には同形式の7号機が静態保存されており、当時の姿を見ることができます。さらに、EF58形電気機関車の一部も、碓氷峠鉄道文化むらや鉄道博物館などに収蔵・展示されています。

宇都宮運転所は、機関庫として発足して以来、宇都宮地区の鉄道輸送の要衝として長い歴史を刻んできました。車両基地としての役割は終えましたが、その歴史は宇都宮の鉄道史において重要な一ページを占めています。

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