小島秀夫 (ヴァイオリニスト)

小島 秀夫（こじま ひでお）の生涯

小島秀夫（1941年8月13日 - 2022年5月13日）は、日本の著名なヴァイオリニストであり、指揮者として広く知られています。彼は広島県広島市に生まれ、1945年の原爆投下によって3歳で被曝しました。この過酷な幼少期を経て、音楽にのめり込むこととなります。

音楽の道へ

小島は8歳の頃、学校の先生の勧めでヴァイオリンを始めましたが、中学時代はスポーツに夢中になるあまり、一時的に音楽から離れてしまいます。高校では広島音楽高等学校に通い、再び音楽への情熱を燃やしました。卒業後、武蔵野音楽大学で学び、著名な指導者たちから指導を受けました。

1964年にはNHK交響楽団に入団し、その後、ベルリン国立音楽大学に進学。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の第1コンサートマスターから直接指導を受け、エキストラとしても活躍しました。帰国後は、N響メンバーによる「高輪弦楽四重奏団」を結成し、多くのメディアに出演しました。

広島交響楽団での活躍

1980年、小島は故郷の広島交響楽団に首席コンサートマスターとして招聘されました。この地位を受け、名古屋フィルや札幌交響楽団、大阪フィルなどからの誘いを断り、広響に尽力することを決意します。初めての定期演奏会では、リムスキー＝コルサコフの「シェヘラザード」のヴァイオリン・ソロを演奏し、同楽団の演奏レベル向上に貢献しました。

広響での18年間、彼はソリストとしても多くのオーケストラや指揮者と共演し、演奏活動を続けました。指導者の江藤俊哉から譲られた名弓ドミニク・ペカットは、彼の音楽活動を支えました。また、作曲家外山雄三との親交が深く、彼からの楽曲献呈もありました。

音楽教育への貢献

1998年に広響を退団後、小島は広島を拠点に後進の育成に乗り出しました。コジマ・ムジカ・コレギアや広島ジュニアオーケストラ、HIROSHIMA MUSIC FESTIVALの創設者として活動し、特にジュニアオーケストラでは子どもたちの育成を重視しました。年齢制限を設けず、合奏の楽しさを味わえるような配慮をしながら指導にあたりました。

更に、くらしき作陽大学の客員教授として学生の教育にも関わりました。彼は日本弦楽指導者協会やコンサートマスターズ・クラブ・オブ・ジャパンのメンバーでもあり、音楽教育に多大な影響を与えました。

家族と晩年

私生活では、妻はピアニストの小島朋子であり、長男の小島燎は5歳から音楽教育を受けました。燎はパリで演奏活動を行うまでになり、秀夫のメソッドを受け継いでいきました。

しかし、小島は75歳頃から病を抱えるようになり、晩年は長期の療養を余儀なくされました。2022年5月13日には、新型コロナウイルスに院内感染し、肺炎によりこの世を去りました。音楽界と後進への貢献を残す形で、80歳での死去となりました。

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