小崎利準

小崎利準：激動の時代を生きた官僚

小崎利準（こさき としなり / おざき りじゅん、1838年2月12日 - 1923年1月31日）は、幕末の伊勢亀山藩士、明治期の内務官僚であり、官選岐阜県知事、錦鶏間祗候を務めた人物です。

生涯

伊勢国鈴鹿郡亀山江ヶ室（現在の三重県亀山市）で、亀山藩士の家に生まれました。藩校で学問を修め、その才能を開花させました。

明治維新後の活躍

明治維新後、小崎は新政府に出仕し、その行政手腕を発揮します。

1868年：笠松県判事に就任
1869年：笠松県少参事
1870年：笠松県大参事
1872年：岐阜県権参事
1873年：岐阜県参事
1875年：権令
1878年：県令
1886年：岐阜県知事

岐阜県知事として

1879年、県会が開設されると、飛騨選出議員（山岳派）と美濃選出議員（水場派）の対立が激化しました。山岳派は道路・橋梁費の増額を主張し、水場派は治水・堤防費の増額を主張。小崎は、両者の対立を緩和するために尽力し、均衡を保つ政策を実施しました。

板垣退助岐阜遭難事件

1882年4月6日、板垣退助が岐阜で刺される事件が発生。当初、小崎は国会開設活動に反対の立場から、医師の派遣を妨害しました。しかし、明治天皇の勅使が派遣されると態度を豹変し、自ら見舞いに訪れましたが、板垣に門前払いを喰らってしまいます。

西別院事件と震災復旧工事疑獄事件

1891年10月、濃尾地震が発生。震災救済同盟が岐阜西別院で小崎知事批判の集会を開き、警官隊が抜刀する事件が起こります（西別院事件）。

1892年の県会では、県の被災者救助の支出に不正があったとして決算が不承認となり、1893年には震災復旧工事の疑獄事件が発生。その責任を取り、1893年3月22日に知事を依願免本官となり退官しました。

晩年

1894年、東京に移り国民協会に入会。1897年12月28日、錦鶏間祗候を仰せ付けられました。1923年、旅行中の神戸で死去。

親族

小崎の娘たちはそれぞれ著名な人物と結婚しています。

長女：滋子（佐藤三吉の妻）
三女：英子（菅川清の妻）
四女：秀子（沢山精八郎の長男・喜多路の妻）
娘：仲子（長田秋濤の妻）。文才に恵まれ、『文芸倶楽部』に小説が掲載。

栄典

1886年：従四位
1884年：正五位
1890年：従三位
1885年：勲三等旭日中綬章
1887年：銀製黄綬褒章
1889年：大日本帝国憲法発布記念章

逸話

1875年、東京神田の古書店で美濃派の俳書を見出したことをきっかけに、その復興に務めました。その功績から、小崎の知事退任時には俳壇各社が送別の句会を開いています。

小崎利準は、激動の時代において、その行政手腕と政治力で岐阜県の発展に貢献した人物として、その名が記憶されています。

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