小布施町立図書館まちとしょテラソ

小布施町立図書館 まちとしょテラソ：歴史と革新が融合する地域拠点

長野県小布施町に位置する小布施町立図書館「まちとしょテラソ」は、大正12年（1923年）に村立小布施記念図書館として創設された歴史を持つ図書館です。その後、幾度かの移転を経て、平成21年（2009年）7月、現在の姿へと生まれ変わりました。単なる図書館の枠を超え、地域住民にとっての交流拠点、文化発信基地としての役割を担う、現代的な図書館です。

歴史を刻む図書館：創設から移転まで

1923年の創設時は、小布施尋常高等小学校内に設置されました。皇太子殿下のご成婚と学制発布50周年を記念して誕生したこの図書館は、地域住民の学習意欲を高める存在として、小学校の授業にも図書館利用が組み込まれるなど、重要な役割を果たしました。その後、公民館内への移転を経て、昭和47年（1972年）には独立した図書館として、旧都住小学校の校舎を改修して使用されました。さらに、昭和54年（1979年）には町役場3階に新築移転しますが、アクセスの不便さから、新たな移転計画が検討されることになります。

町民参加型の設計：現代的図書館への変革

平成18年（2006年）には「図書館のあり方検討会」が設置され、町民の意見を反映した新しい図書館建設に向けた取り組みが開始されました。設計者は全国から集まった166件の応募の中から、古谷誠章氏に決定。選定過程には、建築家や図書館関係者だけでなく、住民代表も参加し、地域ニーズを重視した図書館づくりが進められました。建設用地は、旧幼稚園の跡地が選ばれ、2008年8月には着工。愛称の選定にも町民参加型の公募が行われ、「まちとしょテラソ」と名付けられました。この愛称には、「待ち合わせ場所」としての機能や、設計者の「闇夜を照らす行灯のような存在に」という願いが込められています。

建築デザインと館内空間：開放感と温かさを両立

地上1階建ての鉄骨造りで、屋根は周囲の山並みを模した優しいデザイン。外壁の薄黄色は、小布施町の特産品である栗や、小布施堂の落雁の色合いをイメージしています。館内は間仕切りを少なくし、開放的な空間が広がり、温かみのある木製の家具が配置されています。半透明の扉を採用した部屋もあり、プライバシーを確保しつつ、館内の気配を感じられる工夫が施されています。

多様な取り組み：地域社会との連携

まちとしょテラソは、単なる蔵書保管施設にとどまらず、地域社会との連携を重視した様々な取り組みを行っています。

まちじゅう図書館：町内の個人宅や店舗に本棚を設置し、来訪者が自由に本を楽しめる「まちじゅう図書館」は、人々の交流を促進するユニークな取り組みです。

デジタルアーカイブ：小布施町に関する歴史資料や芸術作品をデジタル化し、データベースとして公開しています。

花の童話大賞：花をテーマにした童話コンテストを開催し、地域文化の活性化に貢献しています。

受賞歴と評価

まちとしょテラソは、その優れた建築デザインと地域活動が評価され、数々の賞を受賞しています。Library of the Year 2011大賞、日本図書館協会建築賞、AACA賞など、高い評価を得ています。

アクセス

長野電鉄小布施駅から徒歩2分と、アクセスも良好です。自動車の場合は、小布施町役場の駐車場を利用できます。

まとめ

小布施町立図書館「まちとしょテラソ」は、歴史と革新が融合した、地域住民にとってかけがえのない存在です。その魅力は、単なる蔵書数の多さではなく、地域と一体となって創造し、発信していく力にあります。図書館を訪れることで、小布施町の豊かな文化に触れ、地域の人々と交流できる、そんな魅力あふれる空間です。

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