春日王克昌

春日王克昌（かすがおう かつまさ）

1977年7月1日、韓国ソウル市に生まれた春日王克昌は、本名を金成澤（キム・ソンテク）といい、春日山部屋に所属した元大相撲力士です。身長183cm、体重150kgという恵まれた体格を持ち、在日韓国・朝鮮人を除く大相撲史上初の韓国出身幕内力士として活躍しました。

しかし、大相撲八百長問題に関与したとして引退勧告を受け、その波乱に満ちた相撲人生を終えることとなりました。

生い立ちと入門まで

3歳の時に父親を亡くした春日王は、母親と二人でソウルから仁川へ移り住み、決して裕福とは言えない生活を送りました。母親は大学の清掃員として働きながら、3人の子供を育てました。小学校入学と同時にテコンドーを始めましたが、4年生の時にシルムに転向しました。

その後、中学校、高校とシルム一筋で、大学では経済学を専攻。大学3年生の時には、大統領旗統一壮士大会無差別級で優勝し、その名を広く知られるようになりました。また、サッカー選手の金南一とは高校時代の同級生で、親交が深かったと言われています。

大相撲の世界へ

大学在学中、元幕内力士の春日富士にスカウトされ、1998年に来日。外国人新弟子採用自粛の慣例を破り、春日山部屋に入門しました。日本語や日本の習慣に苦労しながらも、稽古熱心で努力を惜しまない姿勢で、すぐに日本語を習得し、相撲文化にも順応していきました。

入門当初はちゃんこの匂いにも吐き気を催していたそうですが、体重を増やすために無理をしてでも食べたそうです。また、雑用に追われる日々から抜け出し、幕下に上がってようやく力士らしい生活を送れるようになりました。

幕内力士として

2000年1月場所に幕下昇進、2002年7月場所には十両に昇進し、韓国出身初の関取となりました。さらに、2003年1月場所には新入幕を果たし、敢闘賞を受賞。その活躍は日本のみならず、韓国でも大きく報道されました。

一時は、日韓共同未来プロジェクトとして、韓国での大相撲公演も企画されましたが、SARSの流行により延期となりました。その後、度重なる怪我や痛風に苦しみ、幕内と十両を行き来する日々が続きましたが、2005年9月場所には、三度目の再入幕を果たしました。

延期されていた韓国公演は、2004年2月に行われ、春日王も特別に参加。横綱朝青龍を破るなど、地元ファンを大いに沸かせました。しかし、その後は膝の怪我などもあり、幕内上位に定着することができませんでした。

八百長問題と引退

2011年1月場所で十両優勝を果たし、再入幕もほぼ確実と思われていた矢先、大相撲八百長問題に関与したとして、引退勧告を受けました。師匠の説得もあり、引退届を提出。同年5月には、両国国技館で断髪式が行われました。断髪式には、多くの著名人が参加し、彼の相撲人生の終焉を惜しみました。

人物像

春日王は、早くに父親を亡くし、苦労を重ねて自分を育ててくれた母親を大切にしていました。初来日し、相撲の迫力に触れた際、「ここで成功すれば親孝行ができる」と考え、角界入りを決意したそうです。また、力士として稼いだお金で母親に家をプレゼントしたり、入院の際にはすぐに帰国して見舞うなど、親孝行を尽くしました。

また、地域活動にも積極的に参加し、地元川崎市の人々からも愛されていました。土俵に上がると真剣な表情を見せ、怪我をしても決して言い訳をしないプロ意識の高い力士でした。高尿酸血症や若年性高血圧症に苦しんだ時期もありましたが、それが幸いして兵役を免除されています。

若乃花に憧れ、魁皇のような力相撲を目標としていました。引退後は日韓両国で事業を起こすことを夢見ていたそうです。

エピソード

韓国のテレビ局による密着取材を受けたことがあります。
着メロサイトで韓国語バージョンの着ボイスを配信していました。
シルムの日本公演で、後輩が優勝した際には喜んでいました。
バラエティ番組に出演し、お茶目な一面を見せました。
構造計算書偽造事件が発覚したマンションの購入を検討していましたが、購入を止めて難を逃れました。
医学博士の木下博勝と親交がありました。
延坪島砲撃事件の報道にショックを受けていました。

主な成績

通算成績：464勝452敗11休
幕内成績：199勝272敗9休
十両優勝：2回（2002年11月場所、2011年1月場所）
幕下優勝：1回（2002年1月場所）
三賞：1回（敢闘賞：2003年1月場所）

春日王克昌は、韓国出身初の幕内力士として、多くの人々に感動と勇気を与えました。八百長問題による引退は残念でしたが、彼の相撲への情熱と人間性は、今後も語り継がれることでしょう。

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