男女ノ川登三

男女ノ川登三

男女ノ川登三（みなのがわ とうぞう、1903年9月17日 - 1971年1月20日）は、茨城県筑波郡菅間村（現つくば市磯部）出身の大相撲力士で、佐渡ヶ嶽部屋に所属した第34代横綱です。本名は坂田供次郎（さかた ともじろう）です。

幼少期と初期のキャリア

登三は農家の三男として生まれ、屋根の修理屋として働いていました。ある日、修理中に屋根を踏み抜き、その力強さが周囲の注目を集めました。地元の相撲大会に出場し、いきなり優勝した彼は、県大会でも勝利を収め、力士を目指す決意を固めました。初めは阿久津川高一郎門下で力士となることを希望しましたが、厳しい稽古に戸惑い一度は諦めることとなります。しかし、入門への意志を貫き通し、ついに入門を許可されました。

1923年、関東大震災が原因で富士ヶ根部屋が焼失し、彼は高砂部屋へ転属します。四股名は茨城県にちなんで男女ノ川供次郎と改名し、1924年1月場所に初土俵を踏み、その後負け知らずの戦績を築いていきました。1927年には新十両に昇進し、1928年には新入幕を果たしました。1929年5月場所では「朝潮 供次郎」と改名し、その名で相撲界に名を馳せていきました。

横綱への道

男子ノ川のキャリアは順調に進みましたが、1931年5月場所を前に右膝関節炎を患い、休場を余儀なくされます。翌年、春秋園事件が勃発し、彼は日本相撲協会から一時脱退。再び「朝潮」の名を剥奪され、四股名は男女ノ川に戻されました。この時、彼は「登三」と改名しました。1933年1月場所には幕内でカムバックし、11戦全勝で優勝を果たしました。

その後の快進撃が評価され、1934年には大関に昇進しました。新大関となった彼は、1936年に横綱に推挙され、満場一致で昇進を決定づけました。しかし、彼の身体は春秋園事件前の怪我の影響で強弱が激しく、横綱としては双葉山定次に歯が立たない時期が続きました。

引退と晩年の生活

1938年、男女ノ川は武藏山との対戦で敗北し、皆勤負け越しという不名誉な記録を作りました。その後、彼の奇行が目立つようになり、引退後は一代年寄制度で年寄・男女ノ川を襲名し、日本相撲協会の理事に就任しました。しかし、自宅の農園に熱中するあまり、協会への関心が薄れ、辞任しました。

引退後は農園経営に専念し、政治活動にも挑戦しましたが、二度の選挙で落選し、職を転々としました。私立探偵の仕事も経験しましたが、体格の大きさから難航しました。晩年は養老院に入所しながらも、境遇は極めて厳しいものでした。彼の生活は孤独を伴い、自身の環境に対して弱音を吐く様子が報じられました。

最期と遺産

1971年1月20日、男女ノ川は脳出血のために東京都内の病院で息を引き取りました。葬儀にはわずか30人未満の参列者が訪れ、彼の未練や孤独を象徴するような最期を迎えました。

引退後の彼の人生は、大相撲界における華やかな活躍とは打って変わり、波乱に満ちた日々であったことが伺えます。2020年には彼の遺品が発見され、2022年には一人息子のインタビューも行われ、今もなお多くの人々の記憶に残っています。

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