小指の想い出

「小指の想い出」は、1967年2月10日に世に送り出された、歌手・伊東ゆかりさんの記念すべきシングル楽曲です。この曲は発売されるや否や、瞬く間に日本中の聴衆の心を捉え、驚異的なヒットとなりました。

この楽曲が記録したセールスは非常に目覚ましいものでした。発売された1967年内に、その累計売上は100万枚を突破。翌1968年11月の時点では、公称で150万枚という桁外れの数字を記録しています。当時の日本の音楽シーンにおいて、これほどまでの売上を達成することは稀であり、「小指の想い出」がいかに社会現象となるほどの大きな反響を呼んだかが伺えます。

この楽曲の空前の成功は、伊東ゆかりさんのキャリアに決定的な影響を与えました。1967年の年末に開催された「第9回日本レコード大賞」では、この「小指の想い出」での歌唱が評価され、栄えある歌唱賞を受賞。さらに、その年の大晦日には、国民的な番組である「第18回NHK紅白歌合戦」に出場し、本楽曲を情感豊かに歌い上げました。

「小指の想い出」は、翌1968年にも続けてヒットした「恋のしずく」などと並び称され、伊東ゆかりさんの代表曲として揺るぎない地位を確立しました。発売から半世紀以上が経過した現在でも、テレビの懐メロ特集番組などで彼女がこの曲を歌う機会は多く、幅広い世代に親しまれ続けています。

楽曲の構成についても触れてみましょう。

小指の想い出 (04:00)
作詞：有馬三恵子
作曲：鈴木淳
編曲：森岡賢一郎

夜霧にかくれて (03:19)
作詞：池英志
作曲：白石信
編曲：森岡賢一郎

A面、B面ともに、当時を代表するクリエイター陣が制作に携わっており、特に森岡賢一郎氏による哀愁漂うアレンジが、有馬三恵子氏の詩と鈴木淳氏のメロディーを見事に際立たせています。

時代を超えて愛される名曲であるため、多くのアーティストによってカバーされています。主なカバー事例としては以下が挙げられます。

桑田佳祐
2013年に開催されたAAAイベント『昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦』で歌唱。

石原詢子
2014年11月10日発売のCD-BOX『石原詢子 時代のうた』に収録。
2015年4月8日発売のアルバム『我がこころの愛唱歌II 〜人情と活気に溢れてたあの時代〜』にも収録。

宇野美香子
2015年3月15日発売のアルバム『宇野美香子 〜昭和ポップスを歌う』に収録。

掛川エミ
* 2021年4月28日発売のアルバム『Home Humming』に収録。

これらのカバーからも、「小指の想い出」が後世のアーティストたちにも大きな影響を与え、歌い継がれるべき楽曲として認識されていることがわかります。

「小指の想い出」は、1960年代後半の日本の歌謡曲を語る上で欠かせない一曲であり、伊東ゆかりさんの情感豊かな歌声とともに、今なお多くの人々の心に残り続けている不朽の名作と言えるでしょう。

関連する項目として、本楽曲が発売された「1967年の音楽」の動向を調べることも、当時の音楽シーンや文化を知る上で有益です。

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