小林俊三

小林俊三の生涯と業績

小林俊三（1888年6月3日 - 1982年6月3日）は、昭和時代の日本で活動した法曹界の重要な人物です。東京に生まれ、1914年に東京帝国大学法科大学法律学科を卒業し、一度は会社員として働きましたが、わずか1年10ヶ月で退社し弁護士の道を選びました。

彼のキャリアは、弁護士として始まりましたが、特に有名な事件にも関与しています。1941年には、ゾルゲ事件において尾崎秀実の官選弁護人を務め、その後の太平洋戦争中には、降伏後の極東国際軍事裁判、いわゆる東京裁判において松岡洋右の弁護を担当しました。また、小林は「検事、弁護士を経た後に裁判官になることが理想的だ」と考え、法曹一元化の思想を強く支持していました。

1947年には東京高等裁判所の長官に就任し、1951年には最高裁判所の判事となりました。在任中は政令325号事件、農地改革事件、三鷹事件、帝銀事件、チャタレー事件など多くの重要な事件に関わり、日本の法体系において重要な役割を果たしました。

1958年には定年退官し、その後およそ2年間、日本法律家協会の会長として活動しました。健康に恵まれ、90歳を越えても東京都世田谷区の自宅から電車を乗り継いで霞が関まで通い続けた姿勢は、多くの人々に影響を与えました。1982年6月3日、94歳で東京慈恵会医科大学附属病院で肺炎により生涯を閉じました。

彼の個人的なつながりに関しては、戦前に短歌結社「春草会」に参加していた竹久夢二との親交があります。夢二は小林に日本画を2点贈呈し、その作品『白桃や』と『南枝王春』は2024年6月に竹久夢二美術館に寄託される計画が立てられています。

小林俊三は、その法律家としての業績に留まらず、著書も残しています。1973年には『私の会った明治の名法曹物語』を日本評論社から発表しました。この著作は、彼自身の法律に関する見解や、当時の名法曹との出会いを描いたもので、法曹界への貢献が伺えます。

参考文献

• - 野村二郎『最高裁全裁判官：人と判決』三省堂、1986年。ISBN 9784385320403
• - 野村二郎『日本の裁判史を読む事典』自由国民社、2004年。ISBN 9784426221126

小林俊三の生涯は、日本の法曹史において重要な位置を占めており、その影響は今なお語り継がれています。

もう一度検索