小柴貯油施設

小柴貯油施設の歴史と公園整備

小柴貯油施設は、神奈川県横浜市金沢区に過去に存在した米軍の航空燃料貯蔵所であり、その歴史は戦前の日本海軍による燃料貯蔵基地にまで遡ります。1948年に戦後の在日米軍によって接収された後、数度にわたり施設の移設や改修が行われ、最終的に2005年に日本に返還されました。その後、横浜市はその跡地を公園として整備する計画を進め、2023年9月には第1期エリアが「インクルーシブ遊具広場」として開園しました。この公園は、さまざまな年齢や能力を持つ人々が楽しめる設備が整えられています。

歴史的背景

小柴貯油施設は1948年に米軍に接収された後、1975年には貯油施設の一部が移設され、さらなる地下貯油タンクの移設も行われました。1981年にはタンクの爆発が起こるなど、様々な歴史的出来事を経ています。2004年から2005年にかけて、日米合同委員会による返還交渉が進み、最終的には陸地部分全域と一部の制限水域が日本に返還されました。しかし、市民が安心して楽しめる公園の整備が進む中で、2007年の土壌調査でベンゼンや鉛、ヒ素などの汚染物質が発見されるなど、課題も山積していました。

公園の整備と構想

小柴貯油施設跡地は4つのゾーンに分けられ、それぞれに異なるテーマが設けられています。「緑の広場空間創造エリア」、「自然環境保全エリア」、「里山空間再生エリア」、そして「活動・体験・学習エリア」がそれにあたります。

第1期として整備された「緑の広場空間創造エリア」は、広々とした低地に位置し、多目的広場や管理棟が設置されています。このエリアは、駐車場が完備されており、訪れる人々が楽しめる空間が広がっています。今後の整備計画には、展望広場や水田なども含まれた「自然環境保全エリア」や、歴史的遺構を顧みる「活動・体験・学習エリア」が予定されています。

地域の自然環境

また、跡地には豊かな生態系が残っており、コナラを中心とした雑木林が自生しているほか、1200種以上の動植物が確認されています。水路にはサワガニやカワニナが生息し、特に南部ではヘイケボタルも見られることから、地域の生物多様性が反映されています。これは、自然環境を保全しつつ、市民が身近で自然を楽しめる場所としての役割を果たすことにもつながります。

今後の計画と展望

さらに、2027年度からは「活動・体験・学習エリア」の整備が着手され、2032年度には完全に開園する予定です。公園整備については、国から地方公共団体への無償貸付が原則ですが、環境への配慮から地下タンクは撤去せずに埋め戻され、地上タンクの一部は施設の景観の一部として活用される予定です。

このように、小柴貯油施設跡地は単なる公園だけではなく、地域の歴史や自然を学び、体験する貴重な場所として生まれ変わります。横浜市は、市民にとって魅力的な空間を提供するため、引き続き整備を進めていく方針です。

もう一度検索