小河内岳

小河内岳（おごうちだけ、こごうちだけ）

小河内岳は、長野県下伊那郡大鹿村と静岡県静岡市葵区の境界にそびえる、標高2,802mの山です。赤石山脈（南アルプス）に属し、南アルプス国立公園内に位置しています。

概要

小河内岳は、塩見岳と荒川岳の間に位置し、三伏峠の南東に位置しています。赤石山脈の主稜線上にありながら、比較的里に近く、鳥倉林道を利用することで日帰り登山も可能です。山頂からは、荒川岳を間近に望めるほか、富士山、北アルプス、中央アルプスといった名峰を一望できます。山頂部は森林限界を超えたハイマツ帯の砂礫地となっており、ライチョウの生息地としても知られています。

山名は、大鹿村側を流れる小渋川の支流「小河内沢」の源流の山であることに由来します。古くは「釜沢岳」とも呼ばれていました。静岡県側の東山腹は、特種東海製紙株式会社の井川社有林となっており、明治時代から伐採・植林が行われてきました。

登山ルート

小河内岳への主な登山ルートは以下の通りです。

塩川ルート: 塩川小屋 - 尾根取付点 - 豊口山（鳥倉林道）分岐 - 三伏峠（三伏峠小屋） - 烏帽子岳 - 前小河内岳 - 小河内岳
鳥倉林道ルート: 鳥倉林道 - 林道ゲート - 尾根取付（夏期臨時バス停） - 塩川ルート分岐 - 三伏峠（三伏峠小屋） - 烏帽子岳 - 前小河内岳 - 小河内岳
南アルプス縦走路: 塩見岳 - 塩見小屋 - 本谷山 - 三伏山 - 烏帽子岳 - 前小河内岳 - 小河内岳 - 大日影山 - 板屋岳 - 高山裏避難小屋 - 荒川岳

一般的には、塩川小屋または鳥倉林道から三伏峠を経由して小河内岳を目指すルートがよく利用されます。また、塩見岳から小河内岳を経由して荒川岳（前岳）へと縦走するルートも人気があります。

周辺の山小屋

登山口や稜線上には、山小屋とキャンプ指定地があります。これらの施設は、登山シーズン中の一部期間に営業しています。山頂直下東には小河内岳避難小屋があり、期間外は緊急避難用として一部が開放されています。南アルプス国立公園内では、キャンプ指定地を除き、全山幕営禁止となっています。

かつて三伏峠から北東約1kmの三伏沢には三伏小屋がありましたが、2003年度からし尿処理問題のため閉鎖されました。同様に、三伏沢のキャンプ指定地も閉鎖されています。

地理

小河内岳は、赤石山脈南部の主稜線上に位置しています。稜線の西側の急斜面は、崩落や風化が進んでいます。小河内岳と高山裏避難小屋の間には、大日影山 (2,573 m) と板屋岳 (2,646 m) があります。

源流の河川

小河内岳を源流とする以下の河川は、太平洋へと流れます。

西池ノ沢、土岳沢（大井川の支流）
小河内川（天竜川水系の小渋川の支流）

交通アクセス

鉄道: JR東海飯田線伊那大島駅が最寄り駅です。
自動車: 中央自動車道松川インターチェンジが最寄りのインターチェンジです。
伊那大島駅から登山口までは、伊那市の観光・登山用のバスが運行されています。

小河内岳の風景と展望

小河内岳の山頂は、見晴らしが良く、中央アルプス、富士山、塩見岳、荒川岳など、南アルプスの山々を一望できます。

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