小泉丹

小泉丹（こいずみ まこと）

小泉丹は、明治15年（1882年）11月23日に生まれ、昭和27年（1952年）10月21日に没した、日本の著名な動物学者です。特に寄生虫学における研究で多大な貢献をしました。

経歴

京都府出身の小泉丹は、東京帝国大学理学部動物学科を卒業後、伝染病研究所で宮島幹之助に師事し、研究者としての道を歩み始めました。台湾においては、熱帯病に関する研究に携わり、その知識と経験を深めました。

1924年には、新設された慶應義塾大学医学部の教授に就任し、寄生虫学を担当しました。教授として、マラリアやデング熱といった感染症の研究に力を注ぎ、多くの業績を残しました。特に『蛔虫の研究』は、彼の代表的な研究の一つとして知られています。また、進化論に関する解説も行い、その分野の知識普及にも貢献しました。

小泉丹は、周囲から「たん」という愛称で親しまれていました。彼の墓所は、多磨霊園にあります。

弟の小泉鉄（まがね）は、作家、翻訳家として知られています。彼は第二次『新思潮』に谷崎潤一郎らとともに参加し、その後『白樺』に参加するなど、文壇でも活躍しました。

著書

小泉丹は、多数の著書を執筆しました。以下に主な著書を列挙します。

単著

『最近寄生原虫学』(1910年)
『人体寄生動物学』(1912年)
『遺伝』(1920年)
『台湾ニ於ケル蚊族ノ予防医学的研究』(1921年)
『寄生虫国日本』(1929年)
『ユウゼニックス』(1930年)
『進化学経緯』(1930年)
『寄生原虫類 寄生原虫学界近況概見』(1930年)
『動物園』(1930年)
『進化要因論』(1931年)
『寄生虫学提要 第1分冊』(1932年)
『進化学序講』(1933年)
『麻刺利亜』(1934年)
『寄生原虫類』(1934年)
『人体寄生虫通説』(1935年)
『生物学巡礼』(1936年)
『腸寄生腺虫後感染抵抗性獲得の研究に就て』(1938年)
『視界』(1938年)
『野口英世』(1939年)
『常識の科学性 寄生虫の実際問題』(1941年)
『眉毛眼上集』(1941年)
『科学的教養』(1942年)
『生物体の機構』(1943年)
『日本科学史私攷』(1943年)
『蛔虫の研究 蛔虫毒の形態学的、生理学的、化学的研究』(1944年)
『学生に語る』(1946年)
『人間生物学の課題』(1947年)
『進化学の源流』(1948年)
『科学的教養』(1948年)
『進化学の展開』(1948年)
『寄生虫の話』(1949年)
『蛔虫読本』(1950年)
『手と足 進化の話』(1951年)
『人体寄生虫』(1952年)
『蛔虫毒の研究 その形態学的、生理学的、化学的研究』(1954年)

編著

『診断用・教授用 人体寄生虫卵冩真図譜』(1925年)
『診断用・教授用 人体寄生虫卵冩真図譜』（第2版）(1928年)

訳書

ドラージュ、ゴールドスミス『進化学説』(1924年)
フランシス・ダーウイン『チャールズ・ダーウヰン 自叙伝宗教観及び其追憶』(1927年)
メンデル『雑種植物の研究』(1928年)
チャールズ・ダーウィン『種の起原 上巻』(1929年)
『ラマルク 動物哲学・ダーウィン 種の起原』(1935年)
チャールズ・ダーウィン『種の起原 中巻』(1938年)
T.H.ハックスリ『科学談義』(1940年)
J.ハックスリ、A.ハッドン『人種の問題』(1940年)

共著

綿引朝光、小泉丹『袖珍細菌学実習』(1912年)

共訳

ラマルク 著、小泉丹・山田吉彦 訳『動物哲学』(1927年)

外部リンク

小泉丹 - コトバンク
* 小泉 丹 - コトバンク

小泉丹は、その生涯を通じて、寄生虫学をはじめとする生物学の発展に大きく貢献しました。彼の研究成果や著書は、今もなお多くの研究者や学生に影響を与え続けています。

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