小泉淳作

小泉淳作

小泉淳作（こいずみ じゅんさく、1924年10月26日 - 2012年1月9日）は、昭和から平成にかけて活躍した日本の日本画家、陶芸家です。特定の美術団体に属さず、画壇との距離を置いたことから「孤高の画家」と呼ばれました。その作品は、風景や人物の内面を繊細に描き出し、多くの人々を魅了しました。

生涯

生い立ちと学歴

小泉淳作は、1924年、神奈川県鎌倉市に生まれました。父は政治家の小泉策太郎で、俳優の小泉博は実弟にあたります。慶應義塾幼稚舎、普通部を経て慶應義塾大学文学部予科に入学しますが、1943年に中退し、東京美術学校（現・東京藝術大学）日本画科に入学、山本丘人に師事しました。1944年には応召しましたが、結核のため療養生活を送ることになります。この経験から、戦争に対して強い嫌悪感を抱くようになりました。

画家としての活動

戦後、デザイナーとして活動した後、1954年に新制作展に初入選を果たします。その後、1977年には山種美術館賞展で優秀賞を受賞するなど、画家としての才能を開花させました。1996年からは、建長寺法堂の天井画「雲龍図」を手がけ、2000年に完成させました。また、建仁寺の法堂天井画「双龍図」も制作するなど、寺院の荘厳な空間を彩る作品も手がけました。

2004年には、第14回MOA岡田茂吉賞絵画部門大賞を受賞し、その画業が高く評価されました。

2012年1月9日、肺炎のため死去しました。

作風

小泉淳作の作品は、風景を写実的に捉えながらも、そこに詩情や精神性を加味したものが特徴です。特に、雲や水、木々など自然の描写は、独自の筆致で繊細かつ力強く表現されています。また、人物画においては、その内面や感情を深く掘り下げ、見る者の心に深く響く作品を多く残しました。

陶芸家としての活動

日本画家として活躍する傍ら、陶芸家としても独自の境地を開きました。陶芸作品では、絵画と同様に自然をモチーフにしたものが多く見られ、その造形と色彩は、画家の感性に基づいた独特のものです。

人物

交友関係

小泉淳作は、多くの文化人と親交がありました。慶應義塾大学予科で同級生だった小説家の安岡章太郎をはじめ、日本画家の平山郁夫、作曲家の團伊玖磨、シャンソン歌手の石井好子、小説家の辻邦生、物理学者の武谷三男、劇作家の福田恆存など、幅広い分野の人々と交流がありました。

家族

父は政治家の小泉策太郎、母は大内ふみ。同母弟に俳優の小泉博がいます。幼少期に実母が急逝し、その後、父も亡くしたため、親族に引き取られ養育されました。

主な作品

『奥伊豆風景』（山種美術館賞優秀賞・山種美術館蔵）、1977年
『山を切る道』（国立近代美術館蔵）、1977年
『新雪の鳥海山』（小泉淳作美術館蔵）、1994年
建長寺『雲龍図』、2000年
建仁寺『双龍図』、2001年
東大寺 襖絵(鳳凰4面、飛天4面、散華4面、桜12面、蓮池16面)
『東大寺別当清水公照師像』、1984年

個人美術館

小泉淳作美術館（北海道中札内村）

後援者

横河電機
六花亭製菓


小泉淳作は、その生涯を通じて独自の芸術を追求し、多くの人々に感動を与えました。彼の作品は、時代を超えて、これからも多くの人々の心を捉え続けることでしょう。

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