小泉策太郎

小泉策太郎（こいずみ さくたろう）

小泉策太郎は、1872年（明治5年）12月3日に静岡県賀茂郡三浜村子浦（現在の南伊豆町）で、漁師の長男として生を受けました。幼名は定次郎、号は三申（さんしん）と称しました。

生涯

上京後、鉄物商での奉公や代用教員を経て、ジャーナリズムの世界へ足を踏み入れます。自由党系の新聞社で記者として活動後、大衆小説家の食客となるなど、多様な経験を積みました。1894年（明治27年）には、板垣退助が社長を務める『自由新聞』に入社し、幸徳秋水らと交流を深めました。

その後、星亨の『めさまし新聞』を経て、九州で創刊された自由党系の新聞の主筆に就任しました。1904年（明治37年）には、週刊『経済新聞』を創刊し、経済評論家を主宰に迎え、経営者として手腕を発揮しました。この成功を機に、実業家としての地位を確立し、東京市街鉄道株式会社や朝鮮瓦斯電気株式会社など、数々の企業の要職を歴任しました。

1912年（明治45年）には、衆議院議員選挙に静岡県第二区から立候補し、当選を果たします。以後7回当選し、立憲政友会に所属。政界では「政界の惑星」と称され、多くの政変に関与しました。また、東京市会議員も務めるなど、政治家として多忙な日々を送りました。

「政界の策士」としての名声を得たのは、高橋是清総裁を担いでの第二次護憲運動や、田中義一総裁の実現に尽力したことがきっかけです。しかし、1928年（昭和3年）には、田中内閣の閣僚人事に反発し、所属していた政党を離脱。無所属議員として活動しました。晩年は、書画や仏像を愛好する一方で、西園寺公望の伝記執筆に力を注ぎました。また、若き日の作家林房雄を支援し、その活動を支えました。

小泉策太郎は、その生涯において多岐にわたる分野で活躍し、多くの足跡を残しました。ジャーナリスト、実業家、政治家、そして文筆家としての才能を発揮し、激動の時代を駆け抜けた人物として、現在もなお多くの人々に語り継がれています。

人物

小泉策太郎は、その生涯を通じて、ジャーナリスト、実業家、政治家、そして文筆家として、多岐にわたる分野で活躍しました。特に政治の世界では、その卓越した政治手腕から「政界の策士」と呼ばれ、数々の政変に関与したことで知られています。一方で、文筆家としても才能を発揮し、歴史上の人物の伝記や随筆を執筆しました。彼の著作は、今日においても高い評価を受けており、特に伝記作家としての才能は際立っています。

家族

七男に日本画家の小泉淳作、八男に俳優の小泉博がおり、多彩な才能が子孫にも受け継がれていることがわかります。

栄典

1930年（昭和5年）には、帝都復興記念章を受章しました。

著作

『小泉三申全集』全4巻（岩波書店）
第1巻　織田信長　明智光秀
第2巻　加藤清正　由比正雪
第3巻　随筆　西園寺公
第4巻　史的小品集
『西園寺公望自伝』（木村毅編、大日本雄弁会講談社）
『明智光秀』（岩波文庫）

これらの著作は、彼の歴史観や人物に対する洞察力を示すとともに、現代においても重要な資料として読み継がれています。

関連文献

小島直記『小泉三申 政友会策士の生涯』（中公新書）
長谷川義記『評伝小泉三申―知性と運命の相剋者』（島津書房）
木宮榮彦『小泉三申 ー評論・逸話・年譜ー』
鍋島高明『幸徳秋水と小泉三申―叛骨の友情譜』（高知新聞社）

これらの文献は、小泉策太郎の生涯や業績をより深く理解するための重要な手がかりとなります。

外部リンク

国立国会図書館 憲政資料室 小泉策太郎関係文書（所蔵）
国立国会図書館 憲政資料室 小泉策太郎関係文書（MF：個人蔵）
小泉三申(小泉策太郎)略歴ページ

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