小濱妙美

小濱妙美（こはま たえみ）は、1958年6月19日生まれの日本の声楽家（ソプラノ）であり、音楽教育者です。香川県坂出市出身で、東京藝術大学を卒業、同大学院を修了しました。彼女は、中村義春、畑中良輔、小野光子といった著名な指導者に師事し、その才能はエリーザベト・シュヴァルツコプフにも認められ、1984年よりスイスに留学しました。ミラノではアントニオ・トニーニにイタリアオペラを学び、1993年にはドイツ・ニーダーザクセン州立ブラウンシュヴァイク劇場と専属契約を結び、ワーグナーの『タンホイザー』エリーザベト役でヨーロッパデビューを果たしました。その後、約25年間、欧米各地の歌劇場やコンサート、音楽祭で活躍しました。

日本では、1990年にモーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』ドンナ・アンナ役でオペラデビュー。その後も、プッチーニの『蝶々夫人』、ベッリーニの『ノルマ』、ビゼーの『カルメン』ミカエラ役など、数々の主要な役を演じています。新国立劇場では、開場記念公演のワーグナー『ローエングリン』エルザ役で出演したほか、プッチーニの『蝶々夫人』タイトルロール、チャイコフスキーの『エフゲニー・オネーギン』タチヤーナ、プッチーニの『トスカ』タイトルロールなどを演じました。また、びわ湖ホールではヴェルディの『ジャンヌ・ダルク』タイトルロール、ヴェルディの『エルナーニ』エルヴィラ役など、幅広いレパートリーを披露しています。

コンサート活動も活発で、カーネギー・ホールやサントリーホールなど、国内外の著名なホールで演奏会を行っています。特に、カーネギー・ホールでのリサイタルは、彼女の音楽家としてのキャリアにおいて重要な出来事でした。また、サロンコンサートやサロンオペラなど、新しい形式のパフォーマンスにも挑戦し、聴衆に新鮮な音楽体験を提供しています。

レコーディングにおいては、イタリアオペラのアリアだけでなく、日本歌曲やドイツ歌曲にも取り組んでいます。特に、師であるシュヴァルツコプフから受け継いだヴォルフの歌曲の演奏は、彼女の音楽性の深さを示すものです。

教育者としては、2011年4月より京都市立芸術大学准教授に就任、2014年4月より教授を務め、後進の指導にあたっています。また、沖縄県立芸術大学の非常勤講師も務めています。彼女の指導を受けた学生たちは、国内外の音楽界で活躍しており、教育者としての彼女の貢献も大きいと言えるでしょう。

主な受賞歴としては、1990年のチャイコフスキー国際コンクール声楽部門第6位入賞（日本人初）をはじめ、数々の賞を受賞しています。これらの受賞は、彼女の卓越した才能と努力を証明するものです。

小濱妙美は、その美しい歌声と豊かな表現力で、聴衆を魅了し続けています。オペラ歌手、コンサート歌手、教育者として、多岐にわたる活動を通じて日本の音楽文化の発展に貢献していると言えるでしょう。彼女の音楽に対する情熱と才能は、これからも多くの人々に感動を与え続けるでしょう。

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