小田啓義

小田 啓義（おだ ひろよし、1939年12月23日生まれ）は、日本の音楽界で長年にわたり活躍する人物です。キーボーディスト、作曲家、編曲家、そして音楽プロデューサーとして多岐にわたる活動を展開しています。特に、グループ・サウンズ時代の伝説的なバンド「ジャッキー吉川とブルー・コメッツ」において、オルガンやピアノを担当した中心メンバーとして知られています。映画監督である小田基義を父に持ち、学業としては玉川学園の農学部を中途退学しています。現在も、日本音楽家著作協会および日本作曲家協会のコンサート委員会の会員として活動しています。

小田氏は、幼い頃から音楽の才能を発揮し、小学校時代にクラシックピアノ、高校からはジャズピアノの技術を磨きました。彼のキャリアは、1961年に当時のブルー・コメッツのマネージャーに才能を見出されたことから始まります。当初は、歌手の鹿内孝のバックバンドとして、在日米軍基地などで演奏活動を行っていました。その後、田代久勝とウエスタンキャラバンに移籍しますが、1964年には再びブルー・コメッツへ復帰します。

ブルー・コメッツへの再加入は、バンドの歴史において重要な転換点となりました。彼はキーボード演奏でバンドサウンドの厚みを加えるだけでなく、「甘いお話」「白い恋人」「すみれ色の涙」など、特にシングルB面曲を中心に多くの楽曲の作曲を手がけました。これらの楽曲は、バンドが次々とヒットを飛ばし、名実ともに日本のトップバンドとしての地位を確立する上で不可欠な要素となりました。小田氏はブルー・コメッツの黄金期を築き上げる上で、中心的な役割を果たしたと言えるでしょう。1972年のバンド再編成後もメンバーとして留まり、1984年に脱退するまで、長期にわたりバンドを支えました。この時期には、バンド活動と並行して、音楽プロデューサーとしても活動を開始し、コスミック・インベンションなどのアーティストをプロデュースしています。

ブルー・コメッツ脱退後の小田氏は、ソロでの音楽活動を展開するとともに、新たな分野にも挑戦しました。1985年には、長年ダン池田が率いていた名門ビッグバンド「ニューブリード」のリーダーを引き継ぎ、「小田啓義とニューブリード」として活動します。同年には、第36回NHK紅白歌合戦において同バンドを指揮するという大役を務めました。しかし、翌1986年には、かつてのブルー・コメッツの仲間であった三原綱木にリーダーの座を譲ることとなり、バンドは現在の「三原綱木とザ・ニューブリード」へと引き継がれました。また、この頃からNHK文化センターの「趣味の作曲講座」で講師を務めるなど、音楽教育にも力を入れ始めます。

現在も小田氏は、作曲家、編曲家としての活動を続ける傍ら、後進の指導に情熱を注いでいます。自身が主宰する「OH! MUSIC音楽教室」では、ボーカルやシンガーソングライターを目指す人々への個人指導を行っています。ここからは、プロのボーカリストとして活躍する一青窈が育つなど、多くの才能が開花しています。さらに、細川佳代子氏や鳩山幸氏といった内閣総理大臣経験者の夫人に対する歌唱指導を担当した経験も持ち、その指導力の高さは広く知られています。また、近年再結成されたブルー・コメッツのメンバーとしても全国ツアーに参加するなど、精力的に活動を続けており、日本の音楽シーンにおいて今なお重要な存在感を示しています。

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