小田急箱根鋼索線

箱根登山ケーブルカーについて

箱根登山ケーブルカーは、神奈川県足柄下郡箱根町の強羅駅と早雲山駅を結ぶ、小田急箱根が運営する鋼索鉄道（ケーブルカー）です。観光客向けの案内では「箱根登山ケーブルカー」という愛称で親しまれており、箱根観光の主要な交通手段として重要な役割を担っています。

このケーブルカーは、関東地方で最も古い歴史を持つ路線です。小田急電鉄小田原線の新宿駅から箱根海賊船の元箱根港までを一体とするルートの一部として、駅ナンバリングが採用されており、路線記号はOHです。小田急小田原線が青色で、それ以外の区間（鉄道線、当路線、ロープウェイ、海賊船）は赤茶色で描かれています。

路線データ

路線距離: 1.2 km
軌間: 983 mm
駅数: 6駅（起終点駅含む）
高低差: 209 m

運行時間は通常、8時台から18時台で、日中は概ね毎時3本運行しています。多客時には増便されることがあります。

歴史

1911年、小田原電気鉄道が強羅の土地を取得し、別荘地として開発を進めていました。しかし、この地域は傾斜が急であったため、居住者の利便性を図る目的でケーブルカーの建設が計画されました。同時に、箱根回遊コースの一環としても位置づけられました。

1912年に敷設免許を申請し、1915年に免許が下りました。ただし、鉄道線の工事が優先されたため、着工は鉄道線開業後の1921年となりました。ケーブルカーの設備はすべてスイスから輸入され、1921年12月1日に開業しました。これは、日本で2番目、関東では初の鋼索鉄道でした。

開業当初は下強羅駅という駅名でしたが、1922年に強羅駅に改称されました。1923年の関東大震災では軽微な被害にとどまりましたが、復旧工事は後回しとなり、1925年3月21日に運行を再開しました。1926年には上強羅駅（初代）が早雲山駅に改称されました。

1928年、小田原電気鉄道は日本電力に合併されましたが、同年中に箱根登山鉄道として分離しました。第二次世界大戦中には、不要不急路線として1944年に運行を休止し、施設は撤去されました。戦後、1950年7月1日に運行を再開し、早雲山と湖尻を結ぶ路線バスとの接続により、自社路線のみで芦ノ湖までのルートが完成しました。1951年には早雲館駅が上強羅駅（2代目）に改称されました。

1995年には輸送力増強のため、スイス製の2両編成車両が導入され、軌間も987mmから983mmに変更されました。2019年には再び設備更新工事が行われ、一時運行を休止。2020年3月20日より、5代目となる新型車両が導入されました。

2024年4月1日、小田急箱根グループの会社再編に伴い、運営会社が箱根登山鉄道から小田急箱根に変更されました。

駅一覧

箱根登山ケーブルカーの駅はすべて神奈川県足柄下郡箱根町内に位置しています。通常は全列車が各駅に停車しますが、多客時には強羅駅 - 早雲山駅間で途中無停車の「直通」が臨時運行されることがあります。

強羅駅 (OH57)
公園下駅
公園上駅
中強羅駅
上強羅駅
早雲山駅 (OH62)

運賃

運賃は区間制で、大人運賃は1駅ごとに設定されており、小児は半額です。10円未満は切り上げとなります。2019年10月1日に運賃改定が行われました。

ICカード

箱根登山電車とは異なり、PASMOなどの交通系ICカードは利用できません。ただし、強羅駅と早雲山駅の券売機で、ICカードのSF残高を利用して乗車券を購入することは可能です。箱根フリーパスは利用可能です。

車両

運行開始当初はスイスのフォードベルン社製の車両が使用されていました。戦後の運行再開時には2代目のケ1形、1971年からは3代目のケ2形が使用されました。1995年からは、スイスのガングロフ社製の2両編成で冷房付きのケ100・ケ200形車両に置き換えられました。2020年からは、台車を流用し座席をロングシートに変更した5代目のケ10・ケ20形車両が運行を開始しました。

発車メロディ

強羅駅と早雲山駅では、発車時に「箱根八里」のメロディが使用されています。

まとめ

箱根登山ケーブルカーは、箱根の歴史と自然を感じられる、貴重な交通機関です。その歴史を振り返りながら、車窓からの景色を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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