小田急電鉄経堂工場

小田急電鉄経堂工場

小田急電鉄経堂工場は、1927年に開設された鉄道車両の検査および整備を担当する工場です。当初は経堂車庫と呼ばれ、経堂駅の北側に位置していましたが、1940年に経堂工場へと名称が変更されました。1948年に東京急行電鉄からの分離後も、鉄道車両の重要な拠点として機能していました。1950年には、経堂検車区が新たに設立され、経堂工場の業務の一部が移管されました。

設備概要

経堂工場の敷地は、長さ約200メートルで、内部には3棟の主要建物が並んでいました。幅は約40.2メートル、奥行きは67.5メートルと、比較的小規模な施設でしたが、重要な役割を果たしていました。北棟には主電動機の保守を行う部門があり、中央棟には台車の整備を行う職場がありました。南棟は電動機以外の電装品を扱う部門が存在しました。

さらに、これらの主要建物の南側には「車庫線」と呼ばれる5本の線路が敷設されており、その中の1本には転車台も設置されていました。また、北側には部品倉庫用の「倉庫線」がありました。塗装作業については専用の作業場は設けられておらず、都度空いている線路で行われていました。

沿革

1927年4月1日、小田急の開業に伴って経堂車庫として設立された初期は、車両検査などが行われていました。1940年には経堂工場に改称されたものの、業務の内容は分担され、1948年には電車についての大規模な検査が経堂工場で行われるようになりました。1950年には経堂検車区が発足し、これによって検査業務がより効率的に組織されました。

この時期、小田急では編成単位での車両検査が導入され、これにより留置車両を最小限に抑えることが目指されました。しかし、経堂工場は設備面で編成単位での検査には限界があり、実際には固定編成を分割して検査を行う必要がありました。そのため、1953年には入換用の動力車が製作され、作業効率が向上されました。

1957年には3000形SE車が導入され、これに合わせて特別な作業対応も行われました。連接車両の特性上、通常のボギー車両と異なり、ある程度の設備拡充が必要となり、リフティングジャッキが新たに設置されました。

その後、経堂工場は住宅地に周囲が取り囲まれており、拡張が難しかったため、鉄道車両数の増加に応じて新しい工場の設立が決まりました。1962年には大野工場が新設され、経堂工場は廃止されることとなりました。

経堂工場跡地には、商業施設が建設され、その後も経堂コルティに再開発されました。工場の南側にある「車庫線」は一部が残され、後に廃止されましたが、その名残は今も周囲に向けて存在しています。これにより、経堂工場は地元の歴史において重要な一部を成し、鉄道の発展に寄与していたことが歴史的な意義を持つと言えるでしょう。

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