小田急2400形電車

小田急2400形電車の概要

小田急2400形電車は、小田急電鉄が1959年から1989年まで運用していた通勤用電車です。本形式は「High Economical car」の略称であるHE車と呼ばれ、経済性を重視した設計が特徴です。2400形は特に、先頭車と中間車の長さが異なる形状が目を引き、1959年から1963年までの間に29編成の計116両が製造されました。

登場の背景

1950年代後半、小田急小田原線沿線での宅地開発や郊外移転が進む中、通勤需要が年々増加していました。この情勢の中、既存の車両の製造コストが上昇し、効率的な輸送力の確保が急務となりました。そのため、2400形は全車電動車方式を見直し、電動車と付随車の比率を1:1とすることで製造コストを抑えると同時に、高加減速性能も維持することが求められました。

車両の特徴

2400形は4両固定編成で構成されており、先頭車は制御車であるクハ2450形，中間車は電動車のデハ2400形で構成されています。先頭車は全長15,970mm、車体長15,400mm、中間車は全長19,300mm、車体長18,800mmと異なり、外観上の特徴が際立っています。

車体仕様

全金属製のボディは、軽量化のために外板と屋根板の厚さを薄くする試みが行われましたが、1960年度以降は標準的な厚さに戻されました。正面は貫通型のデザインで、3枚窓を採用し、前面の通風グリルや前照灯の設計でも工夫が凝らされています。側面客用扉は両開きタイプを採用し、乗降の効率が向上しました。

内装とサービス

内装はロングシートが採用され、座席定員は200名に達します。また、運転室との間仕切りが設けられ、利便性も考慮されています。内部部品は軽量化が施され、座席間の配置も工夫されています。

主な機器と性能

2400形の主電動機は、三菱電機製の補極付直流直巻電動機が利用されています。駆動装置にはWNドライブ方式が採用されており、強力な出力を実現しています。加速性能を強化するために、やや高機能な制御装置も搭載されています。

運用の歴史

初めて運用を開始したのは1960年1月で、急行列車や各駅停車に幅広く使用されました。しかし、急速な輸送需要の増加に備えるため、1964年からはより大型のNHE車の投入に伴い、急行列車中心の運用に徐々に移行しました。1980年代に入ると、HE車は急行運用から撤退し、役割を徐々に終えていきます。

最後の営業運用は1988年で、全ての2400形が廃車されました。これにより、小田急電鉄の2400形電車の歴史は幕を閉じ、また一つの時代が終わりました。

結論

小田急2400形電車は、その革新性や運用の多様性から、通勤車両として重要な役割を果たしました。経済性と高性能性を持つこの車両は、今なお多くのファンにとって記憶に残る存在であり続けています。

もう一度検索