小畑達夫

小畑達夫の生涯

小畑達夫（おばた たつお）は、1907年7月7日に秋田県北秋田郡二井田村で教師の長男として生を受けました。幼い頃に母を亡くし、父も小学校5年生の時に他界。最終的には実母の妹であるイクの元で育ちました。彼は秋田県立大館中学校に進学し、在学中に伯父の影響を受けて天皇制に対する批判を展開していました。特に同級生の種市健などと共に社会主義研究会を結成し、地域の文化人や学友たちと映画研究会を開くなど活動的でしたが、1925年に「野犬を食った」との理由で中学4年生の時に退学処分を受けてしまいます。

1929年、彼は上京し、逓信省に郵便局職員として就職しました。彼は日本労働組合全国協議会（全協）傘下の日本通信労働組合に加入し、組織部員としての活動を始めました。1931年には、その労働組合の常任委員に選ばれるなど、彼の労働運動へのコミットメントは高まり続けました。特に彼は同年に一度逮捕されるも、釈放された後しばらくは郷里に戻るも、再度潜伏生活を送ることとなります。

1932年には日本共産党に入党し、地元の同志を集めて全協秋田地区協議会を立ち上げるなどしています。1933年5月には共産党の党中央委員に就任し、その後10月には財政部長に昇進しました。同年の12月、自身が所属していた共産党から警察に内通したスパイとの疑いをかけられ、アジトでの査問中に急死しました。この事件は後に「日本共産党スパイ査問事件」として知られることになります。

小畑の死因には諸説あり、特にその直後に共産党内で彼に対する疑惑が飛び交い、宮本顕治や袴田里見などが彼の死に関与しているとされました。死後、遺体はアジトの床下に埋められ、発見されたのは1934年のことでした。彼の実弟は、遺体を引き取った際に「兄は裏切り者ではなかった」と述べたと伝えられています。また、兵本達吉などの調査者によれば、地元の人々は彼がスパイであるとは考えなかったとされています。

歌手小畑実との関係

小畑達夫の継母であるイクは、東京で歌手の小畑実を下宿させていました。小畑実は1953年に、かつての恩人であるイクや小畑達夫のために彼らの墓を同県大館市に建立しました。

結論

小畑達夫の生涯は、日本の社会運動の中での彼の活動や、共産党内の複雑な人間関係、さらにはスパイ疑惑とそのその後の研究により、一層の謎を残しています。彼の名は、その死後もなお日本の社会運動の歴史に刻まれています。

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