日本労働組合全国協議会

日本労働組合全国協議会（全協）

日本労働組合全国協議会（にほんろうどうくみあいぜんこくひょうぎかい）、通称全協は、戦前の日本において重要な労働組合のナショナルセンターとして活動しました。この組織は、日本で最初にプロフィンテルンに加盟した労働組合であり、日本共産党の指導のもとで労働者の権利擁護や社会改革を目指していました。全協は、労働争議やストライキに積極的に関与し、最大で約12,000人の組合員を有していました。

組織の構成と活動

全協は、金属や化学、出版、土建、繊維、交通といった産業ごとに様々な産別組織を有し、全国規模で労働者の団結を図っていました。同組織は、機関紙「労働新聞」を通じて他の労働組合に影響を与える存在でもありました。特に、メーデー、赤色デー、露西亜革命記念日などのイベントを利用した煽動活動は目立ち、これにより労働者の意識を高める存在となりました。

内部対立と分派

しかし、全協内部では1929年から幹部派と反幹部派の間で、意見の対立が生じ、特に川崎武装メーデー事件を契機に分裂が進行しました。反幹部派は「全協刷新同盟」を結成し、さらなる労働組織の再編を行いました。しかし、プロフィンテルン第5回大会において全協の内部闘争の警告が与えられ、これにより全協刷新同盟も解体へと追い込まれました。

結成から衰退までの歴史

1928年、三・一五事件後に日本労働組合評議会が解散されると、左翼の労働組合が再び結集し、全協準備会が結成されます。その後、創立大会は四・一六事件の影響で開けなくなりました。1930年には武装蜂起を試みましたが成功せず、その結果として組織内部の不満が高まります。全協刷新同盟の結成や対立の激化は、組織の分裂を加速させ、1931年には「日本労働組合総評議会」が創立されます。

最後の時期と解散

1930年代に入ると、全協内の活動は次第に衰退し、厳しい弾圧や内部対立によって1933年には全国一斉検挙が行われ、多くの関係者が拘束されました。その後、共産党との対立や組織再建の失敗が続き、最終的には1936年に全協再建委員会が検挙された結果、自然消滅しました。全協の活動は、当時の社会運動や労働運動において意義のあるものであり、特に朝鮮人労働者の中での影響力も大きかったとされています。

参考文献

1. 大原クロニカ『社会・労働運動大年表』
2. 梅田俊英「全協」：平凡社『世界大百科事典』

もう一度検索