小笠原康広

小笠原康広の生涯

小笠原康広（おがさわら やすひろ）は、1531年に小笠原元続の子として生まれました。彼の家系は北条氏との関係が深く、氏綱の母方の縁戚にあたります。康広は北条為昌の娘、主君である北条氏康の養女である種徳寺殿を妻に迎え、さらに氏康から一字を拝領して「康広」と名乗ることを許されています。これにより、彼は北条家の一門として厚遇を受けました。

康広は、武家故実に精通し、武者奉行や小田原城下町の飯泉町奉行として活躍しました。天文年間末期からその名が知られるようになり、永禄2年には「小笠原六郎」が相模国西郡矢畑郷にて180貫文を与えられたことが役帳に記されています。これにより、彼の地位がさらに強固なものとなりました。

天正2年（1574年）、康広は子の孫増丸（後の長房）に家督を譲りました。そして、天正8年（1580年）には、遠江国浜松城に使者として派遣され、徳川家康と謁見する機会を得ます。この際、家康から守家の太刀と吉平の刀を賜りました。さらには、天正11年（1583年）には家康の娘督姫の北条氏直への輿入れに際し、浜松城まで迎えに行く使者として選ばれるなど、重要な役割も果たしました。

康広の人生は、戦国時代の混乱の中で、忠臣としての信念を持ちながらも、豊臣秀吉の小田原征伐後は北条氏直に従い、高野山に入って出家を果たし、「播磨入道」と名乗ることとなります。氏直の死後、文禄元年（1592年）には加賀爪政尚の勧めによって上洛し、再び徳川家康に仕官します。

康広の晩年は慶長2年（1598年）12月8日に彼が67歳で息を引き取るまで続きました。彼の人生は戦国時代の動乱の中での忠義と奉仕の精神の象徴であり、北条氏、徳川氏に対する彼の奉公は、高く評価されています。

参考文献

• - 堀田正敦 編「国立国会図書館デジタルコレクション」『寛政重脩諸家譜』
• - 下山治久『後北条氏家臣団人名辞典』東京堂出版
• - 家永遵嗣 著、戦国人名辞典編集委員会 編『戦国人名辞典』吉川弘文館
• - 黒田基樹『戦国北条氏一族事典』戎光祥出版

関連項目

• - 小笠原氏

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