小笠原権之丞

小笠原権之丞について

小笠原権之丞（おがさわら ごんのじょう）は、1589年頃に生まれ、1615年に亡くなった安土桃山時代から江戸時代初期の武将です。彼は徳川家康の落胤正室である朝日姫の侍女から生まれたとされていますが、具体的な生誕の経緯は詳細には伝わっていません。権之丞は、母の姓である三条家から名を受け継いでいる可能性があり、彼自身が洗礼を受けた際の名前は「ディエゴ」とも記されています。

経歴の背景

権之丞の出生に関する記録は1590年代まで遡ります。天正17年に産まれたとされる彼は、徳川家康が自身の正室の侍女に手をつけた結果存在することになったとも言われています。家康は、朝日姫の実兄である豊臣秀吉に気を使ったため、侍女を家臣の小笠原広重家に嫁がせました。その後、権之丞はその家系に育てられ、成長後は幡豆小笠原氏を継ぎ、6千石を授かることになります。

権之丞は、キリスト教に傾倒し、イエズス会が設立した修道院の庇護者となりましたが、1612年に発生した岡本大八事件に関与したために改易されました。その際、彼が棄教を表明したために一時的に死罪を免れ、放逐されたことが『徳川実紀』に記されています。

大坂の陣とその後の運命

1615年には、権之丞は大坂の陣において豊臣方として参戦し、徳川家に対抗しました。彼は夏の陣の天王寺の戦いにおいて、キリシタンの明石全登の指揮のもと出陣し戦死したとされています。戦死の場所については諸説あり、越前北ノ庄藩主で家康の孫にあたる松平忠直隊と交戦したと言われていますが、当時の戦場では多くの変則的な戦闘が展開されていました。戦後、権之丞の妻は九鬼嘉隆の子と再婚することになります。

人物の終焉と記憶

権之丞の母・大さいの位牌は、愛知県西尾市の妙善寺に祀られています。彼の生涯は、戦国時代の複雑な家族関係や信仰の影響を色濃く反映したものであり、時代の変遷の中でどのように生きたのかを浮き彫りにしています。

関係書籍

権之丞を題材にした小説として火坂雅志『家康と権之丞』があり、2003年に朝日新聞社から出版されています。彼の人生は多くの文献に参考にされ、武士の時代背景と権力の移り変わりを知る貴重な一要素として現代の歴史研究に寄与しています。

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