小笠原清忠

小笠原清忠：伝統と革新を体現する小笠原流31世宗家

小笠原清忠氏は、1943年10月生まれの小笠原流弓馬術礼法の31世宗家です。現在、神奈川県を拠点に、伝統文化の継承と発展に尽力されています。

華麗なるキャリアの軌跡

東京神田に30世宗家である小笠原清信氏の御子息として生まれた清忠氏は、慶應義塾大学商学部を卒業後、医療金融公庫（現：福祉医療機構）で社会人としてのキャリアをスタートさせました。しかし、その経歴は、単なる企業人としての歩みに留まりませんでした。1992年、父・清信氏の逝去に伴い、31世宗家を襲名。鎌倉の鶴岡八幡宮で執り行われた襲名式は、伝統と未来をつなぐ重要な儀式となりました。

宗家襲名後、清忠氏は小笠原流の継承と発展に全力を注ぎ込みました。国内各地の神社仏閣において、年間40回を超える神事奉納を執り行っています。その中には、「靖国神社三々九手挟式」、「明治神宮成人の日祝賀元服式」、「日光東照宮流鏑馬神事」、「鶴岡八幡宮流鏑馬神事」、「熱田神宮百々手式」、「鹿島神宮百々手式」など、日本の伝統文化を象徴する数々の重要な神事が含まれています。さらに、後継者である嫡男の清基氏と共に、全国各地で礼法稽古場を開催するなど、後進の育成にも力を入れています。

国際舞台での活躍

清忠氏の活動は日本国内に留まりません。アメリカ、フランス、イギリスなど海外諸国においても、流鏑馬神事などを披露し、日本の伝統文化を世界に発信しています。特に、フランスのエッフェル塔を背景にした流鏑馬は、多くの人々の心を捉え、日本の伝統文化の国際的な認知度向上に貢献しました。また、イギリスではウェールズ公チャールズ（後のチャールズ3世）と皇太子徳仁親王（後の天皇）が名誉総裁を務めた英国日本協会100周年記念イベント「ジャパン・フェスティバル」において、両国皇太子の台覧を得て流鏑馬を奉納するなど、国際的な舞台でもその技量と品格を発揮しています。

教育者としての顔

清忠氏は、伝統文化の継承者としてだけでなく、教育者としても多大な貢献をしています。東京都学生弓道連盟会長、財団法人姿勢研究所評議員、日本古武道振興会常任理事、儀礼文化学会常務理事などを歴任し、後進の指導育成に当たっています。さらに、慶應義塾大学非常勤講師、皇學館大学特別招聘教授、國學院短期大学客員[[教授]]、池坊短期大学客員[[教授]]として、教育機関においてもその知識と経験を活かしています。

数々の著作

清忠氏は、小笠原流礼法に関する著書を多数出版しており、その内容は、礼法の技術的な側面のみならず、日本の伝統文化や精神性についても深く掘り下げています。代表的な著書として、『小笠原流礼法入門 美しい姿勢と立ち居振る舞い』、『小笠原流弓と礼のこころ』、『小笠原流礼法で強くなる日本人の身体』などがあり、これらは広く一般読者にも親しまれています。また、共著や監修なども多数手がけており、日本の伝統文化の普及に大きく貢献しています。

小笠原流の未来

小笠原清忠氏は、単なる伝統の継承者ではなく、伝統を現代社会に活かし、未来へつなぐ役割を担っています。その活動は、国内外にわたり、日本の伝統文化の理解と発展に大きく貢献しています。小笠原流の未来を担う清忠氏と、その活動を支える多くの人々の努力によって、日本の伝統文化はこれからも世界に輝き続けることでしょう。

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