小笠原賢二

小笠原賢二は、1946年4月15日に北海道増毛町で生まれ、2004年10月4日に58歳で亡くなった文芸評論家です。彼は、中学卒業後に集団就職で上京し町工場で働きましたが、父親の死をきっかけに故郷に戻り、進学を決意しました。北海道増毛高等学校を経て法政大学文学部日本文学科に進学し、1975年に同大学院修士課程を修了。小田切秀雄に師事し、文学研究の道を歩みました。

大学院在学中から文芸評論誌「週刊読書人」の編集に携わり、1986年に退職するまでその編集に尽力しました。その後は、法政大学や日本ジャーナリスト専門学校などで教鞭をとり、後進の育成にも力を注ぎました。1995年には、『終焉からの問い』で第3回ながらみ書房出版賞を受賞し、その評論家としての才能を高く評価されました。

小笠原の評論は、小説に留まらず、短歌や俳句といった分野にも積極的に及びました。独自の視点と深い洞察力で、文学作品の本質を捉え、その魅力を多くの読者に伝えました。彼の評論は、対象となる作品だけでなく、文学全体に対する深い愛情と知識に裏打ちされており、多くの文学者や研究者に影響を与えました。

2004年、肺がんのため東京都立川市の病院で亡くなりました。葬儀・告別式は、歌人である福島泰樹が住職を務める法昌寺で執り行われ、多くの文学関係者が彼の死を悼みました。

主な著書には、『異界の祝祭劇-現代文学の21人』（1986年、沖積舎）、『文学的孤児たちの行方』（1990年、五柳書院）、『終焉からの問い-現代短歌考現学』（1994年、ながらみ書房）、『時代を超える意志-昭和作家論抄』（2001年、作品社）、『拡張される視野 現代短歌の可能性』(2001年、ながらみ書房)、『「幸福」の可能性 逆風の中の文学者たち』（2004年、洋々社）、『極北の詩精神-西川徹郎論』（2004年、書肆茜屋）、そして没後に編纂された『小笠原賢二小説集』（2006年、響文社）があります。これらの著作を通して、彼の文学に対する情熱と深い知識を垣間見ることができます。

小笠原賢二は、その生涯を通して文学の可能性を追求し続け、その評論は今日においても、文学研究に携わる人々にとって貴重な資料となっています。

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