小笠原長棟

小笠原長棟（おがさわら ながむね）

概要

小笠原長棟は、戦国時代の武将であり、信濃国を拠点とした小笠原氏の当主です。府中小笠原氏の出身で、林城を本拠地としていました。父は小笠原貞朝で、次男として生まれました。

1504年（永正元年）に元服し、1512年（永正9年）には父から弓馬礼法を伝授されました。1515年（永正12年）に父が亡くなると家督を継承しました。1528年（享禄元年）には、将軍・足利義晴の命で上洛しました。

小笠原氏の統一

長棟は智勇に優れた武将で、1533年（天文2年）には高遠頼継や知久氏の軍勢を伊那谷で破り、その武名を高めました。翌1534年（天文3年）には、対立していた伊奈（松尾）小笠原氏の当主である小笠原貞忠を打ち破り、甲斐国へ追放しました。これにより、分裂していた小笠原氏を統一し、その勢力を拡大しました。また、弟の信定を鈴岡城に入城させ、一族の結束を固めました。

さらに1539年（天文8年）には、長年敵対していた諏訪頼重と和睦し、周辺の勢力との関係も安定させました。これらの功績により、長棟は小笠原氏を戦国大名として確固たる地位を築き上げ、最盛期を現出させました。

後継者問題と出家、そして小笠原氏の滅亡

しかし、長棟には後継となる実子に恵まれず、弟の長利を養子に迎えました。その後、実子の長時が誕生したものの、長利との間で不和が生じ、長利は小笠原家を出奔し、安曇郡に移りました。そして、小笠原家と対立していた村上氏の配下である香坂氏に身を寄せ、大日方氏を称したと伝えられています。

1541年（天文10年）に長棟は出家し、家督を嫡男の長時に譲りました。しかし、長棟の死後、1550年（天文19年）には、信濃小笠原氏は武田晴信（後の武田信玄）によって滅亡に至りました。

まとめ

小笠原長棟は、戦国時代の激動期において、分裂していた小笠原氏を統一し、その最盛期を築き上げた武将です。しかし、後継者問題や周辺勢力との対立により、最終的には一族の滅亡という悲劇を迎えることになりました。

参考資料

『戦国人名辞典』吉川弘文館 2006年
今井尭「小笠原系図」『日本史総覧』 3（中世 2）、新人物往来社、1984年。

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