小笠原長矩

小笠原長矩（おがさわら ながのり）は、江戸時代初期に三河吉田藩（現在の愛知県豊橋市）を治めた第2代藩主です。忠知系小笠原家の2代目にあたります。

元和10年（1624年）1月24日、初代藩主である小笠原忠知の長男として江戸で誕生しました。幼少の頃から武士としての教育を受け、元服後は父を補佐する立場となります。

寛文3年（1663年）、父・忠知の死去に伴い家督を継承し、三河吉田藩の第2代藩主となりました。この時、弟である長定に3,000石、長秋に2,000石をそれぞれ分与したため、自身の所領は4万石となりました。家督相続と同時に、朝廷との連絡役である奏者番にも任命され、幕府と朝廷との関係維持にも努めました。

寛文6年（1666年）には、寺社奉行に任じられ、寺社行政に携わりました。寺社奉行は、幕府の宗教政策を執行する重要な役職であり、長矩は延宝6年（1678年）までの約12年間、その任を務めました。寺社奉行在任中は、寺社の管理や訴訟の処理、宗教政策の実施などを担当し、その行政手腕を発揮しました。

藩主としては、新田開発に力を入れ、藩の財政基盤の強化に尽力しました。また、龍拈寺、悟真寺とともに神宮寺を吉田三ヶ寺と定め、寺社の保護にも努めました。これらの政策を通じて、藩の発展に大きく貢献しました。

延宝6年（1678年）2月8日に、55歳で生涯を閉じました。跡は長男の長祐が継ぎ、三河吉田藩はその後も小笠原家によって治められました。

系譜

父：小笠原忠知
母：多賀光定の娘
正室：菅沼定芳の娘

子女

長男：小笠原長祐（生母は正室）
* 次男：小笠原長煕（生母は正室）

長矩は、藩主としてだけでなく、幕府の役人としても活躍し、その多才ぶりを発揮しました。彼の治世は、藩の安定と発展に大きく貢献したと言えるでしょう。新田開発や寺社の保護など、多岐にわたる政策を通じて、藩民の生活を豊かにし、その功績は後世にまで語り継がれています。

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