小笠原忠知

小笠原忠知は、江戸時代初期に活躍した武将であり、旗本、そして大名として名を馳せました。信濃国松本藩主・小笠原秀政の三男として生まれ、幼名は虎松丸と称しました。

生涯

忠知は、慶長15年（1614年）から寛永8年（1631年）まで旗本として信濃高井郡に5000石を与えられました。その後、寛永2年（1625年）には書院番頭、翌年には大番頭、寛永9年（1632年）には奏者番と、幕府内で重要な役職を歴任しました。同年9月、兄の小笠原忠真が豊前国小倉藩主となると、忠知は豊後国杵築に4万石を与えられ、大名として取り立てられました。

大名となった忠知は、その武勇を如何なく発揮し、竹中重義改易後の府内藩在番や、寛永14年（1637年）の島原の乱では島原城在番として出陣するなど、数々の戦で功績を挙げました。また、藩政においても、植林政策に尽力するなど、領地の発展にも貢献しました。

正保2年（1645年）には、5,000石を加増され、三河吉田へ移封となりました。文化人としても知られ、茶の湯を愛好し、千家再興のため、千宗旦を招こうとしました。高齢の宗旦に代わり、茶道宗徧流の祖である山田宗徧を召し抱えました。

三河吉田藩主時代には、領内の治水事業にも力を入れました。郡代の長谷川太郎左衛門に命じて、豊橋向山の大池を掘削させ、そこから水を引いて吉田城の惣濠（外堀）を水堀としました。この水は、城の防御だけでなく、豊橋吉田方地区の灌漑にも利用され、領民の生活を支えました。

寛文3年（1663年）7月29日、65歳で生涯を閉じました。法号は一峰定水天真院。墓所は愛知県豊橋市の臨済寺にあります。跡は長男の小笠原長矩が継ぎました。

系譜

父母
父: 小笠原秀政
母: 登久姫（松平信康の長女）

正室
多賀光定の娘

子女
長男: 小笠原長矩（生母は正室）
次男: 小笠原長敦
三男: 小笠原長定
* 四男: 小笠原長秋

小笠原忠知は、武将としての功績だけでなく、領地の発展、文化の振興にも尽力した、多才な人物でした。その生涯は、江戸時代初期の歴史を語る上で欠かせない重要な人物として、後世に語り継がれています。

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