小笠原長貴

小笠原長貴：多難な藩政を担った越前勝山藩主

小笠原長貴は、寛政5年（1793年）に越前勝山藩の第6代藩主・小笠原長教の長男として生まれました。寛政11年（1799年）に父の死去に伴い、わずか6歳で家督を継ぎ、第7代藩主となります。

しかし、その治世は決して平穏なものではありませんでした。家督を相続した年、勝山城下は大火に見舞われ、享和3年（1803年）には江戸藩邸が火災で焼失するなど、災難が相次ぎます。文化8年（1811年）には天候不順による凶作が発生し、領内では打ちこわし（大杉沢騒動）が起こりました。さらに、文化11年（1814年）には百姓一揆が発生し、天保期には天保の大飢饉による甚大な被害を受けるなど、領民の生活は困窮を極めます。この惨状が原因となり、天保7年（1836年）には再び打ちこわしが起こるなど、藩政は困難を極め、藩財政は悪化の一途を辿りました。

苦難が続く一方で、長貴は幕府における要職も歴任しています。文化13年（1816年）7月から12月まで奏者番を務め、文政12年（1829年）から天保11年（1840年）まで若年寄を務めるなど、幕政にも参与しました。

天保11年（1840年）3月8日、長貴は48歳でこの世を去りました。跡は六男の長守が継ぎました。

系譜

父：小笠原長教
母：充（中川久貞の娘）
正室：妙（酒井忠道の娘）
子女：
小笠原貴富
小笠原長保
小笠原長満
川勝広運（五男、生母は妙）
小笠原長守（六男、生母は妙）
森長国正室
* 屋代忠規正室

小笠原長貴は、相次ぐ災害や飢饉、領民の騒動に翻弄されながらも、藩政を立て直そうと尽力しました。その生涯は、決して平坦ではありませんでしたが、幕府の要職を歴任するなど、その能力は高く評価されていました。

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