小笠原長守

小笠原長守：越前勝山藩最後の藩主、激動の時代を生きた文化人

小笠原長守（おがさわら ながもり）は、江戸時代後期に越前勝山藩の第8代、つまり最後の藩主を務めた人物です。信嶺系小笠原家10代目にあたります。

生涯

天保5年（1834年）に第7代藩主・小笠原長貴の六男として誕生。天保11年（1840年）に父の死により家督を継ぎました。幼少のため、当初は家老の林毛川が藩政を補佐しました。

林毛川は、綱紀粛正、人材育成、産物奨励、倹約などを通して藩政改革を積極的に推進。天保14年（1843年）には藩校・成器堂を創設し、人材育成に力を注ぎました。嘉永元年（1848年）には軍備増強や専売制確立によって財政を立て直しましたが、その後の災害や幕府からの命令による出費が重なり、藩財政は再び悪化しました。

弘化4年（1847年）には幕命により関東方面の河川手伝い普請、安政2年（1855年）には安政の大地震で藩邸が崩壊。さらに安政5年（1858年）には勝山で地震が発生し、天守や櫓、石垣が大きく損壊するなど、相次ぐ災害に見舞われました。また、藩政改革における領民への負担が大きかったこともあり、領民から林毛川の罷免を求める声が上がり、長守は毛川を罷免しました。

その後は親政を行い、文久3年（1863年）にオランダ式の軍制を採用して軍備を増強。元治元年（1864年）には大坂加番、慶応元年（1865年）には京都守備を任じられました。慶応4年（1868年）の戊辰戦争では新政府に協力し、明治2年（1869年）の版籍奉還で勝山藩知事に任じられましたが、明治4年（1871年）の廃藩置県で免官となりました。

明治6年（1873年）に隠居し、明治24年（1891年）に58歳で死去しました。

長守は藩主としての務めを果たす傍ら、詩や書画にも優れた文化人であり、その才能を発揮しました。

系譜

父：小笠原長貴（1793 - 1840）
母：妙（1798 - 1868） - 酒井忠道の娘
正室：今鶴（? - 1896）
長男：小笠原長育（1859 - 1895）
長女：鍈（1859 - 1904） - 山崎治敏室
三男：柳生俊久（1867 - 1941）- 柳生俊益の養子
次女：詮子（1873 - 1938） - 若尾幾造の妻
四男：細田粲四郎（1875 - ?）- 若尾民造の婿養子、細田姓を名乗る
五男：清水健五郎（1876 - ?）- 清水粲四郎の養子
六男：山田量六郎（1879 - ?）福井士族・山田つねの養子
* 三女：麗子（1881 - 1937） - 土井利剛正室で、兄・長育の養女

まとめ

小笠原長守は、幕末という激動の時代に、藩主として様々な困難に立ち向かいながら、文化人としても才能を発揮した人物です。彼の生涯は、幕末の地方藩主の苦悩と、新しい時代への移行を象徴していると言えるでしょう。

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