小菅一夫

小菅 一夫の生涯と業績

小菅一夫（こすげ かずお、1901年10月23日 - 1984年11月10日）は、日本の浪曲作家および演芸評論家として知られる存在です。彼の創作活動は、初期の頃からラジオドラマの脚本に始まり、長きにわたり浪曲の世界で輝かしい業績を残しました。

若き日の創作活動

彼のキャリアは1923年に始まりました。この年、6代目林屋正蔵の新作落語の懸賞に応募し、応募作である「夢そば」が二等賞を受賞します。この受賞を機に、伊井蓉峰一座の文芸部に所属し、高村龍平という名義でラジオドラマの脚本を書くようになりました。その後も新派文芸部に移り、さらなる創作に励みます。

戦時中の活動

第二次世界大戦中は、浪曲作家として活動を続け、特に1942年には「大東亜戦史」というテーマで新たな台本を提供しました。この作品は、春日井おかめによって演じられ、戦時中の浪曲の役割を果たしました。

戦後の流声

戦後、小菅は浪曲作家としての活動を再開します。富田常雄の小説『姿三四郎』を浪曲化し、2代目広沢菊春によって演じられ、ヒット作となりました。1953年には、ラジオ東京の企画に基づいて村松梢風の評伝集『近世名勝負物語』から「二人の王将」を梅中軒鶯童に提供し、さらに1958年には講談の『祐天吉松』を浪曲化し、2代目広沢虎造に演じさせました。

小菅は特に広沢虎造とは親しい関係を持ち、虎造の未亡人から浪曲の権利管理を任されていたとも伝えられています。彼の作品は、若手の浪曲家にとっても重要な指針となり、浪曲の発展に寄与したと言えるでしょう。

ラジオ番組への関与

また、小菅は朝日放送東京支社で活動し、ラジオ放送の浪曲番組の制作に携わりました。多くのラジオ脚本を手がけ、自らも評論家としてメディアに登場することがありました。TBSラジオの『浪曲天狗道場』での審査員や、1966年から始まったフジテレビの『しろうと寄席』での審査員の役割を果たしました。

晩年と著作

小菅は後年、特に浪曲音源の復刻に関する解説や文書執筆に力を入れました。澤田隆治は、ラジオ番組での共同作業を通じて小菅を「僕の東京の師匠」と慕い、彼の没後には『小菅一夫が見た明治大正の浅草と劇場』という遺稿集をまとめましたが、これは一般には販売されていないのが残念です。

著書

小菅一夫の著作には、1949年に発表された『浪曲名家選』があります。彼の作品や評論は、浪曲や演芸に対する深い理解を示すものであり、現在も多くの人々に影響を与えています。小菅の足跡を辿ることで、彼の業績とその重要性を再評価することができるのではないでしょうか。

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