小藤田千栄子

小藤田千栄子は、1939年2月20日に東京都で生まれ、2018年9月11日に79歳で生涯を閉じた、日本の著名な映画演劇評論家です。彼女は、早稲田大学文学部を卒業後、映画雑誌『キネマ旬報』の編集部でキャリアをスタートさせました。1976年からはフリーランスの評論家として独立し、映画と演劇の世界で独自の視点からの評論活動を展開しました。

小藤田の評論は、特に女性映画とミュージカルに焦点を当てていました。彼女は、これらのジャンルに対する深い知識と情熱を持ち、作品の背景にある社会的なテーマや芸術的な価値を丁寧に読み解きました。その評論は、単なる作品の評価にとどまらず、映画や演劇が持つ文化的な意義を深く考察するものでした。

彼女の著作活動もまた、その評論家としての足跡を色濃く残しています。単著としては、ミュージカルの歴史や舞台裏のクリエーターに焦点を当てた『ミュージカル・コレクション』や『舞台裏のスターたち』などがあります。これらの書籍は、ミュージカルや演劇への彼女の深い愛情と知識が凝縮された作品です。

また、川本三郎との共編著として『女優グラフィティ』や『ポケットいっぱいの映画』、井上保との共編著『タップ&ダンス中野ブラザーズ』など、多様なテーマでの著作があります。特に『ポケットいっぱいの映画』は、映画の細部にわたる知識を網羅した小事典として、映画ファンにとって貴重な資料となっています。

さらに、小藤田は『ローマの休日 : My fair Audrey』のように、特定の作品や人物に焦点を当てた編集著作も手がけています。また、東京国際女性映画祭の記録をまとめた『映画に生きる女性たち』や、複数の評論家と共にミュージカル映画を選出した『プロが選んだはじめてのミュージカル映画』など、多岐にわたるテーマでその評論活動を展開しました。

晩年には、『女性（監督）映画がおもしろい』シリーズの編集にも携わり、女性監督の作品に光を当てました。このシリーズは、彼女の女性映画への情熱を示すものとして、多くの読者に支持されました。彼女の死後、2019年3月10日には都内のホテルで「小藤田千栄子さんを偲ぶ会」が開催され、多くの関係者が彼女の功績を偲びました。

小藤田千栄子の業績は、映画と演劇の評論の世界において、大きな足跡を残しました。彼女の評論は、作品の深い理解を促し、多くの人々に影響を与え続けています。その著作は、映画や演劇を愛する人々にとって、今後も貴重な資料であり続けるでしょう。

主な著作は以下の通りです。

単著
『ミュージカル・コレクション : ブロードウェイ - ハリウッド - 東京』講談社、1986年
『舞台裏のスターたち : 舞台創りのクリエーター20人』同文書院、1998年
共編著
『シルヴィア・クリステル』（責任編集）芳賀書店、1976年
『グレゴリー・ペック - のっぽでハンサムなアメリカの誠意』（責任編集）芳賀書店、1977年
『女優グラフィティ』（川本三郎との共編著）ブロンズ社、1978年
『スキ・スキ・バン・バン』（川本三郎との共編著）ブロンズ社、1980年
『ポケットいっぱいの映画 : 映画ディテール小事典 A to Z』（川本三郎との共著）河出書房新社、1991年
『タップ&ダンス中野ブラザーズ』（井上保との共編著）話の特集、1992年
『ローマの休日 : My fair Audrey』（編著）立風書房、1995年
『映画に生きる女性たち:東京国際女性映画祭20回の記録 : 1985～2007』（高野悦子・大竹洋子・羽田澄子他との共著）パド・ウィメンズ・オフィス、2007年
『プロが選んだはじめてのミュージカル映画 : 萩尾瞳ベストセレクション50』（萩尾瞳・中島薫・村岡裕司・山内佳寿子とともに監修）近代映画社、2008年
『女性（監督）映画がおもしろい』シリーズ（パド・ウィメンズ・オフィス）

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