小西行景

小西行景：宇土城を守り抜いた武将

小西行景（こにし ゆきかげ）は、安土桃山時代の武将であり、小西隆佐の三男として生まれました。兄には有名な小西行長がいます。通称は隼人正、別名として長元を名乗ることもありました。

生涯

小西行景は、兄・行長が南肥後半国を与えられると、5,000石を与えられ、宇土城代となりました。天正17年（1589年）の天草国人一揆鎮圧では、その武勇を発揮し、名を上げました。

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、西軍に与した小西家は苦境に立たされます。行景は留守居役として宇土城の守備を任され、家臣である南条元宅や内藤如安と共に城を守りました。加藤清正率いる軍勢が押し寄せると、行景は麦島城の小西行重や薩摩の島津氏に援軍を要請する使者を送ると同時に、城の守りを固めました。

しかし、援軍要請の使者は加藤軍に捕らえられ、偽の使者とすり替えられてしまいます。小西長貞は偽の情報を信じ、島津義弘家臣・本郷能登守の救援部隊を宇土へ差し向けましたが、これは加藤勢の策略であり、本郷勢は宮原の乱橋付近で待ち伏せに遭い、本郷能登守は討ち死にしました。

一方、行景自身は、加藤家臣の梶原景俊率いる水軍を海戦で破り、梶原を討ち取るなど、奮戦しました。その采配は敵からも高く評価されたといいます。加藤清正は宣教師を派遣し、降伏を勧めましたが、行景は信仰と軍事は別であるとして、これを拒否しました。

行景は10月まで宇土城を守り抜きましたが、20日、小西行長家臣の加藤吉成と芳賀新五が、行長自筆の書状を持って関ヶ原から到着し、西軍の敗北を伝えました。行景は、自身の切腹と引き換えに城中の家臣と領民の助命を嘆願し、清正はこれを快諾、酒肴を送って城兵を労いました。そして23日（または21日）に開城。翌24日、約束通り熊本城下の下川元宣の屋敷で切腹したとされていましたが、近年の研究では、10月13日に開城合意、14日に開城が行われたとする説も出ています。

開城後、加藤清正は旧小西家臣に対してキリシタン弾圧を行ったため、多くの家臣が離散しました。

行景の死後、助命された南条元宅によって、禅定寺（熊本市中央区横手）に墓が建てられ、南条の墓と並んで、現在も自然石の墓が残っています。

行景には、忠右衛門と七右衛門という二人の息子がいました。忠右衛門は宇土落城の際に鹿本へ逃れ、その子孫は小材氏（分家は八浪氏）を名乗り、七右衛門の子孫は津田氏を名乗り、それぞれ武家として存続しました。

参考文献

高柳光寿; 松平年一『戦国人名辞典』吉川弘文館、1981年、292頁
熊本県八代郡宮地国民学校 編『国立国会図書館デジタルコレクション 宮地郷土史読本』熊本県八代郡宮地国民学校、1941年
幸田成友「国立国会図書館デジタルコレクション 小西行長とその一族」『和蘭雑話』第一書房、1934年、190-191頁。
阿蘇品保夫［宇土城開城に関する新出史料―（慶長五年）一〇月一三日付清正書状について―］（『熊本史学』85・86号、2006年）

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