小西行重

小西行重の生涯

小西行重（こにし ゆきしげ）は、生年不詳ながら慶長7年（1602年）頃に没したとされる安土桃山時代の武将です。小西行長の家臣であり、その重臣として活躍しました。元々は木戸末郷（きど すえさと）という名前でしたが、武功を立てたことで小西姓を与えられ、小西行重と改名しました。通称は作右衛門または美作（みまさく）で、キリスト教の洗礼名としてドン・ヤコボ（ヤコブ）の名を持ちます。

出自や前半生については不明な点が多いですが、小西家の三家老の筆頭として、古麓城（ふるふもとじょう）の城代家老を務めた後、麦島城（むぎしまじょう、後の八代城）を新築した後も引き続き城代を務めました。天正18年（1590年）には天草国人一揆の鎮圧で活躍し、その武勇を示しました。

文禄元年（1592年）から始まった文禄・慶長の役では、小西行長の軍勢の一員として朝鮮半島に渡り、平壌城の戦いでは特に目覚ましい活躍を見せました。明側の記録によると、文禄の役の講和交渉において、豊臣秀吉が明から冊封される際、小西行重は都督指揮の官位を受ける予定であったとされています。

関ヶ原の戦いでは、行重は麦島城にいましたが、西軍についた小西行景が守る宇土城が東軍の加藤清正の軍勢に攻められました。宇土城からの使者が加藤勢に捕らえられ、偽の救援要請によって加藤勢の伏兵に待ち伏せされ、敗北しました。しかし、同じ西軍の島津龍伯に救援を求め、島津忠長や新納忠元、伊集院久治ら薩摩勢の支援を得て、小西家の城砦は守り抜きました。

主君である小西行長が関ヶ原の戦いの後に捕らえられ、処刑されたことを知ると、行重は薩摩国へ移り、島津家に仕えました。レオン・パジェス著の『日本切支丹宗門史』によれば、行重は慶長7年（1602年）頃に亡くなったとされ、その遺骸は長崎に送られたと伝えられています。

子孫について

『日本切支丹宗門史』には、慶長13年（1608年）に島津家久（忠恒）の棄教令を拒否し追放された20歳の青年ドン・ディエゴが、小西美作（行重）の息子であったと記されています。このディエゴ小西は、寛永4年（1627年）に2名の小西姓の者と共に長崎からマカオへ旅立ったとされています。

また、『日本キリシタン教会史』によれば、小西行重の息子はドン・ヤコベ（ディエゴ）忠次郎であり、父と同様に島津家久から手厚い待遇を受けていたとされています。これらの記録から、行重の血筋がキリシタンとして信仰を守り、海外との繋がりを持っていたことが伺えます。

小西行重は、その武勇とキリシタンとしての信仰、そしてその子孫の足跡を通じて、戦国時代から江戸時代初期にかけての歴史を彩る人物の一人として、記憶されるべき存在と言えるでしょう。

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