小誦経

小誦経について

『小誦経』（しょうじゅきょう、パーリ語: Khuddaka-pāṭha）は、パーリ仏典の中で『小部経典』の最初の経典として位置づけられています。この経典は、主に日常の勤行や読誦の目的で必要な文献をまとめたもので、多くの仏教徒が日常生活に取り入れています。

構成と内容

『小誦経』は、以下のような主要な部分から構成されています。

1. 三帰依（Saranattayam）

この部分では、仏教徒が仏法僧に帰依する重要な誓いを示しています。信者が仏の教えを受け入れ、導きに従う姿勢を確認するものです。

2. 十戒（Dasasikkhapadam）

十戒は、仏教徒が守るべき基本的な戒律を述べています。これにより、信者が日常生活において道徳的な行動を維持する助けとなるのです。

3. 三十二身分（Dvattimsakaro）

この部分では、人間の存在に関する詳細な教えが記載されています。人間の身分やその様々な状態について考察されており、信者が自己を理解し智慧を深めるための指針となります。

4. 問沙弥文（Kumarapanha）

ここでは、若い修行者（沙弥）が質問を通じて教えを学び、成長していく様子が描かれています。このセクションは、学びの重要性を強調しています。

5. 吉祥経（Mangala Sutta）

吉祥経は、幸運や繁栄をもたらすための重要な教えを含んでいます。信者がどのような行動をとるべきかが示されており、幸福な生き方を目指すための指針となります。

6. 宝経（Ratana Sutta）

この経では、宝のような教えの価値と、それが人々にもたらす恩恵について説かれています。信者は、この教えの重要性を再認識することができます。

7. 戸外経（Tirokutta Sutta）

この部分は、外部の世界を意識しながらも、内面的な修養を大切にすることの重要性を訴えています。

8. 伏蔵経（Nidhikanda Sutta）

伏蔵経は、心の中に秘められた真実や智慧を発見することの重要性を語ります。信者に自己の内面を探求するきっかけを提供します。

9. 慈経（Metta Sutta）

慈経は、他者に対する無償の愛という重要な教えを中心にしており、信者が慈悲の心を育てることを促します。

日本語訳と出版情報

『小誦経』は、日本語に翻訳されたものも幾つか存在します。代表的な訳書には、以下が含まれます。

• - 『南伝大蔵経』（大蔵出版）
• - 『小部経典』第1巻（正田大観、Kindle 2015年）
• - 『小部経典』第一巻（春秋社 2023年）

これらの翻訳は、パーリ語の教えを日本語話者が理解しやすい形で提供しています。

結論

『小誦経』は、仏教徒にとって非常に貴重な文献であり、日常生活の中で実践できる教えが詰まっています。この経典を通じて、多くの信者が仏教の教えを再確認し、実践に役立てています。

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