小野寺祐太

小野寺祐太騎手：地道な努力と15年越しの夢

1990年3月12日生まれ、JRA栗東トレーニングセンター所属の小野寺祐太騎手。宮城県出身で、幼少期は競馬とは無縁の生活を送っていました。しかし、中学時代に競馬好きの友人と出会ったことがきっかけで競馬にのめり込み、騎手を目指すことを決意します。

競馬学校には2度目の挑戦で合格。同期には国分恭介、国分優作、松山弘平、丸山元気といったそうそうたるメンバーが名を連ねています。座右の銘は「日進月歩」、目標とする騎手は岩田康誠と定め、厳しい訓練の日々を送りました。

2009年3月1日、中山競馬場でのデビュー戦。結果は5着でしたが、同年3月29日、13戦目で初勝利を掴みます。同期では松山弘平に次ぐ2人目の勝利でした。

デビュー2年目には、所属していた伊藤正徳厩舎のネヴァブションの香港遠征に帯同。師匠から指名を受け、現地での調教を担当しました。この経験を通して、兄弟子の後藤浩輝騎手から多大なサポートを受け、馬具の購入から競馬に関するアドバイス、厩舎スタッフとの親睦を深める食事会など、後藤騎手の人間的な温かさに触れ、大きく成長します。

2011年3月11日、小倉滞在中に東日本大震災が発生。宮城県の実家も被災し、大きな衝撃を受けました。その後は勝利から遠ざかる時期もありましたが、2015年1月、3年2ヶ月ぶりの勝利を収め、持ち前の粘り強さを見せつけます。

騎乗馬の確保のため、2012年から障害競走にも挑戦。しかし、なかなか勝利に恵まれず、落馬事故も経験するなど、苦しい時期が続きました。障害競走での初勝利は、実に3年後の2015年7月。125戦目での勝利は、彼の努力と忍耐の証です。同年4月には、障害未勝利ながら中山グランドジャンプにも騎乗するなど、積極的にレースに挑み続けました。

2016年には、福島競馬場で1日で2勝を挙げる快挙を達成。その後、2014年から所属していた木村哲也厩舎を離れ、フリーとして活動。そして2022年、活動拠点を栗東に移します。美浦からの依頼にも対応するため、時間を見つけては美浦での調教にも参加するなど、精力的に活動しています。

デビュー以来、重賞レースでは5着が最高着順でしたが、2022年5月14日の京都ハイジャンプでは、6番人気ながら2着と好成績を収め、重賞初連対を果たします。惜敗の悔しさから、重賞勝利への強い思いを胸に秘め、トレーニングに励みました。

そして、2023年3月11日。阪神スプリングジャンプでジェミニキングに騎乗し、12頭立ての10番人気という下馬評を覆し、見事重賞初制覇を達成しました。東日本大震災から12年目の3月11日、故郷への思いを胸に掴んだ勝利は、小野寺祐太騎手の15年にわたる努力の結晶であり、忘れられない感動的な瞬間となりました。

同じ3月12日生まれには、岩田康誠騎手、細江純子騎手、小林淳一騎手、宮崎北斗騎手など、多くの騎手がいます。また、叔父にオートレーサーの清水卓がいることなど、彼の歩みには様々なエピソードが隠されています。これからも、小野寺祐太騎手の活躍から目が離せません。

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