小野忠弘

小野 忠弘 (おの ただひろ)

概要

小野忠弘（1913年3月3日 - 2001年8月5日）は、日本の美術家であり、造形作家として活動しました。特に1960年代において、彼の作品はジャンク・アートの分野で国際的に高く評価され、1959年には米国の『LIFE』誌が特集した「ジャンク・アート世界の7人」に選ばれました。青森県弘前市に生まれた彼は、生涯を通じて創作活動を続け、その後の美術界に多大な影響を与えました。

経歴

小野は1931年に青森県立弘前工業学校の土木科を卒業後、1938年に東京美術学校の彫刻科を卒業しました。在学中に鳥海青児のアトリエに通い始め、油彩画の技術を磨きました。卒業後は、教育を通じて自身の作品を発表し続けました。特に徳島県立富岡中学校で教員として勤務していた際には、春陽会に作品を出品し、目を引く作品を多数生み出しました。

1942年には福井県立三国中学校に転任し、1944年には詩人の三好達治と交流を持ち、さらには版画家の棟方志功とも同じ下宿で生活していました。その後、高校美術教師としての役割を果たしながら、教育と人材の育成に尽力しました。彼の指導を受けた生徒の中には、後にアートディレクターとして成功を収めた戸田正寿がいます。

1953年にはロンドンで開催された国際彫刻展で、無名政治犯という作品が日本人として初めて佳作賞を受賞しました。この受賞は彼のキャリアにおいて重要な転機となりました。その後も日本国内外の数多くの展覧会に出品し、名声を高めていくことになります。

1957年にはフランスのミシェル・タピエによる「世界・現代芸術展」に出品し、この際に彼の作品は「世界に通じる作品」と評されました。翌年のサンパウロ・ビエンナーレやヴェネツィア・ビエンナーレも含め、彼の作品は広く認知されることとなりました。この時期彼のジャンク・アートは、鉄屑や陶片、木屑といった廃品を用いて作品を創り出すスタイルで、国内外で高評価を得ました。

晩年の活動

小野は1973年に三国高校を定年退職し、その後は地元に根付いた活動を続けました。1974年には、自身のアトリエとして利用するために古民家を改造し、美術創作の拠点としました。1979年には東京セントラル美術館で大規模な個展を開き、80年には「妖星の画家―小野忠弘」展を開催し、特に「タダの人」シリーズや「テラテラの曠野」シリーズなど、多数の新作を発表しました。

1985年には福井県立美術館で自らの作品を集めた展覧会が開催され、224点が出品されました。彼の創作活動や教育活動は、地域社会とのつながりを保ちつつ続けられました。

最期とその後

2001年8月5日、小野は急性心不全により福井県の自宅で逝去しました。享年88歳。彼の作品や住居は、寄贈を受けた形で「ONO MEMORIAL」として整備され、現在も多くの人々に親しまれています。国際的な評価を受けた後も、地元に留まり美術教育を続けたことには様々な理由があるとされ、彼の人生や創作に対する姿勢は今でも多くの人々に影響を与えています。2013年には、小野の生誕100年を記念して「小野忠弘と美・未来」展が開催され、彼の作品が再評価される機会となりました。

所蔵美術館

彼の作品は以下の美術館に所蔵されています：

• - 青森県立美術館
• - 大原美術館
• - 国立国際美術館
• - 高松市美術館
• - 富山県美術館
• - 奈良県立美術館
• - 福井県立美術館

小野忠弘の作品は、彼の独自の視点とアプローチから生まれたものであり、今なお多くの人々に影響を与えています。

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