小野有五

小野 有五（おの ゆうご）

1948年2月2日生まれで、日本の地理学者として広く知られる小野有五は、特に地球生態学、環境地理学、景観生態学の分野で重要な研究を行ってきました。彼は北海道大学の名誉教授でもあり、北星学園大学経済学部の元教授として、地理学を教え、多くの後進を育成してきました。

来歴・人物

小野の研究のきっかけは、中学生のころに抱いた山への関心です。この興味は彼を東京教育大学へと導き、大学院では氷河地形の研究に取り組みました。特に、平川一臣との共同研究により、北海道日高山脈の氷河地形と平野の地形発達に関する重要な成果を上げ、最終氷期における寒冷期の存在を実証することに成功しました。この研究は、氷期と間氷期における気候変化と地形発達の関連を流域スケールで解明した画期的なものでした。

1981年には地形学辞典の編集に携わり、1984年にはフランス語から『周氷河環境』を翻訳しました。大学院時代には同世代の研究者たちと「寒冷地形談話会」を設立し、氷河や周氷河地形の研究を深化させました。この後、筑波大学で助手として活躍し、河川地形の研究も行いました。

その後、北海道大学に移籍し、良好な河川環境の確保に向けた研究を進めていきます。特に千歳川放水路計画への反対活動には、環境科学者として積極的に参加しました。また、アイヌ語地名の復活やサンルダム建設への反対運動、原発への反対運動、先住民の知恵に基づいたエコツーリズムの推進など、幅広い社会活動にも取り組んでいます。

活動

1990年以降、小野は北海道での自然保護運動を推進しており、特に「千歳川放水路計画」の中止に成功しました。彼は「市民のための科学」として、環境問題に取り組む科学者の育成にも力を入れています。また、「北海道アウトドア資格制度」の創設に関与し、若者の育成を通じて自然教育を模索しています。

2000年には岩手大学と共同研究を行い、鹿追町の駒止湖一帯に存在する永久凍土を発見。この発見は彼の研究の重要な一環となりました。さらに、2008年には先住民族サミットで共同代表を務め、アイヌ民族の権利回復を求める運動にも注力しています。

略年譜

• - 1948年: 東京都で誕生
• - 1970年: 東京教育大学理学部地学科卒業
• - 1972年: 大学院修士課程修了
• - 1975年: 博士号取得
• - 1975年: 筑波大学助手
• - 1981年: 専任講師に昇進
• - 1984年: パリ第7大学で客員教授
• - 1993年: 北海道大学大学院教授就任
• - 2011年: 名誉教授に就任

家族・親族

小野の父はロシア文学者であり、生物学や社会運動の分野でも知られています。小野の一族には多くの著名人がおり、その背景が彼の研究や活動に影響を与えていると考えられます。

主な著書と研究論文

小野は数多くの著書や論文を発表しており、それらは自然科学と地理学の重要な知見を提供しています。特に『神々のみた氷河期への旅 空からみる北アルプス自然誌』や『たたかう地理学』などは、彼の研究の成果を踏まえた作品です。

まとめ

小野有五は、地理学の研究を通じて日本の自然環境保護に努め、地域社会への影響を重視した行動を続ける科学者です。彼の業績は、地理学のみならず環境科学全般に及ぶ広範囲なものであり、今後の活動が注目されています。

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