小野清一郎

小野清一郎（おの せいいちろう）

概要

小野清一郎は、1891年1月10日に盛岡市に生まれた日本の著名な法学者であり、弁護士としても活躍しました。彼の専門分野は、刑法、刑事訴訟法、法哲学であり、特に客観主義的な立場からの刑法理論で知られています。東京大学の名誉教授としてその業績は高く評価され、また、日本学士院の会員や法務省特別顧問としても活動しました。彼は勲一等瑞宝章や文化勲章を受章しており、1986年に95歳で亡くなりました。

教育と経歴

小野は盛岡中学校を卒業後、一高（東京大学教養学部の前身）を首席で卒業し、続いて東京帝国大学法科大学でも首席で卒業しました。彼の学問の基礎は、在学中に受けたさまざまな指導者からの影響を受けており、特に主観的犯罪論を支持する牧野英一との出会いが重要でした。しかし彼は、後に客観主義的犯罪論を展開し、牧野とは激しく対立することとなります。

小野は1919年に東京地方裁判所の検事職に就任し、司法官補としての職務に着手しました。その後、東京帝国大学法科大学の助教授や教授に就任し、1946年には公職追放を経験しましたが、1951年に追放が解かれました。以降、弁護士登録をし、1955年には東京第一弁護士会の会長に就任しました。1965年には勲一等瑞宝章を受章し、1972年には文化勲章も受章しました。

学説と理論

小野の刑法学説は、特に構成要件の理論において重要な位置を占めています。彼は犯罪を、法律における違法有責な行為として捉える考え方を根付かせました。彼の理論では、犯罪行為の本質は道義的責任であり、この責任からなる違法性を規範違反として位置付けています。このような立場から、滝川幸辰との対立を経て、日本の刑法学において影響力を持ち続けました。

増えていく彼の著作には、名誉棄損罪についての詳細な研究や、刑事訴訟法における公訴事実と構成要件の関係に関する考察が含まれ、つまり、検察官が構成要件を立証する際には被告人がその違法性を証明しなければならないという立証責任の転換を提唱しました。

代表的な著作

小野清一郎の著作には、『犯罪の時及び所』や『刑事訴訟法講義』といった重要な作品があり、刑法学や法哲学に関して数多くの論文を執筆しました。また、彼は仏教思想にも深い造詣を持ち、多数の著作を通して現代思想との関連を考察しました。彼の writings は、法学の発展において欠かせないものとされています。

総括

小野清一郎の業績は、日本の刑法学及び法哲学において、現在もなお重要な影響を与えています。彼の理論は、戦後日本の法学における客観主義の流れの土台となり、今後の法的議論においても重要な位置付けを維持しています。彼の理念は、法の理解を深めるための大きな指針として、多くの後進に受け継がれていることを意味します。

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