小金宿

小金宿：水戸街道の要衝として栄えた宿場町

小金宿は、水戸街道の千住宿から三つ目に位置する宿場町で、現在の千葉県松戸市小金にあたります。その歴史は古く、中世には小金城の近くまで迫っていた太日河の河岸から城下へと続く金宿がその原型と考えられています。水戸街道の整備とともに宿場町としての機能が整えられ、南北に約1キロメートルにわたって家々が立ち並び、大変賑わいました。

宿場町の構造と特徴

小金宿の大きな特徴は、その形状にあります。宿場町は南北に長く伸び、北端で東へと屈曲しています。この屈曲点には、八坂神社が鎮座しており、さらに北へ向かうと、あじさいで有名な本土寺への参道が続いています。この参道との分岐点には追分の石が置かれ、旅人たちの道しるべとなっていました。

宿場町の規模は非常に大きく、1万軒以上の家々が軒を連ねていたと伝えられています。また、幕府の軍馬牧場である小金牧に近接していたことから、軍事上も重要な拠点とみなされていました。

本陣と小金御厩・小金御殿

小金宿には、一般大名が利用する本陣が置かれていたほか、水戸藩も独自に本陣（日暮家）を指定していました。また、幕府の野馬奉行の屋敷である小金御厩は、後に小金牧全体を管理する重要な役割を担うようになりました。この屋敷跡の一部は、現在の北小金駅の敷地となっています。

さらに、水戸藩の旅館として機能した小金御殿は、家臣の日暮玄蕃が留守居役を務めていました。この御殿は、現在の松戸市立小金小学校の付近に位置していたとされています。日暮玄蕃は、その財力を背景に水戸藩に取り入り、旅館を拝領したものの、浪費によってその財を失ったという逸話も残っています。

周辺の名所旧跡

小金宿周辺には、数多くの名所旧跡が点在しています。以下に代表的なものを紹介します。

一月寺：由緒ある寺院。
旅籠「玉屋」：江戸時代末期に建てられた旅籠で、当時の建築様式を今に伝える貴重な建物です。現在も民家として使用されています。
東漸寺：地域の人々に親しまれている寺院。
八坂神社：京都の祇園社を起源とする神社。
本土寺：あじさいの名所として知られる日蓮宗の寺院。
根木内城：小金城の前身となった城跡で、一部が公園として整備されています。

隣接する宿場と街道

小金宿は、水戸街道沿いに位置し、松戸宿と我孫子宿の間にありました。松戸宿との間は約7キロ、我孫子宿との間は約10キロの距離があります。この区間には小金牧があったため、宿場町は置かれていませんでした。

また、小金宿と我孫子宿の間には、日光街道東往還が分岐する追分がありました。さらに、我孫子宿の近くには布施弁天東海寺への参道との追分もあり、街道が複雑に交差する場所でもありました。

近代における小金宿

小金牧があったため、宿場町の間には集落が形成されませんでしたが、鉄道開通後は柏駅を中心とする都市が発展しました。小金宿は、かつての宿場町の面影を残しつつ、現代の都市の一部として新たな歴史を刻んでいます。

小金宿は、水戸街道の要衝として栄えただけでなく、その歴史的な背景や周辺の文化遺産など、多くの魅力を持つ場所です。歴史好きの方だけでなく、自然や文化に触れたい方にもおすすめの場所と言えるでしょう。

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