一月寺

一月寺（いちがつじ）

一月寺は、千葉県松戸市小金にある日蓮正宗の寺院です。山号は金龍山。

歴史

普化宗寺院としての創建

一月寺は、元々「一月寺（いちげつじ）」という名称で、武蔵野国新町（現在の東京都青梅市新町一丁目）にあった鈴法寺と共に、普化宗の触頭として関東総本山という重要な地位にありました。伝承によれば、正嘉年間（1257年 - 1259年）に金先古山禅師によって創建されたとされています。徳川幕府の庇護を受け、大いに繁栄しました。

『虚無僧略縁記』には、一月寺の開基に関する興味深い記述があります。それによると、普化禅宗の開祖である普化和尚の弟子、虚無僧の金山金松が尺八を創始し、その流れを汲む比伊奈居士が下総国で清浄な地を求めて金龍山一月寺を建立したと伝えられています。

廃寺

しかし、明治時代初期の政府の方針により、幕府と関係の深かった普化宗は解体され、一月寺もその影響を受けました。僧侶は資格を失い、その後は近隣の臨済宗寺院である万満寺の支援を受けながら、在家の信者によって管理されることとなりました。

日蓮正宗寺院としての再興

昭和30年代（1955年 - 1964年）になると、妙縁寺総代であった佐藤悦三郎の仲介により、一月寺は日蓮正宗に改宗し、読み方も「いちがつじ」と変更され、現在に至っています。

旧寺宝

普化宗時代の寺宝は、松戸市に寄贈され、現在は松戸市立博物館などで見ることができます。また、歴代の供養塔は万満寺にあります。

所在地

千葉県松戸市小金242

寺院周辺

一月寺の周辺には、以下の寺社があります。

関さんの森 – 幸谷
東漸寺 – 小金。浄土宗。
光明寺 – 二ツ木。真言宗豊山派。蘇羽鷹神社の別当寺。
茂侶神社 – 小金原五丁目
八坂神社 – 小金町字西444

交通アクセス

バス

京成バス「小金下町」バス停から徒歩約1分

鉄道

JR常磐線北小金駅南口から徒歩約11分

脚注

参考文献

流山市立博物館友の会 編『楽しい東葛寺社事典（東葛流山研究第34号）』崙書房、2016年

関連項目

仙石騒動
虚霊山明暗寺 – 普化正宗総本山
虚無僧
法華山源遠寺 – 柏市根戸にある日蓮正宗寺院で一月寺住職が兼務住職となっているが、現在正信会僧侶が占有・居住している。

一月寺は、その長い歴史の中で、普化宗から日蓮正宗へと宗派を変えながらも、地域の人々に支えられ、信仰の場として存続してきました。その歴史を辿ることで、日本の宗教文化の一側面を垣間見ることができます。

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