小鹿範満

小鹿範満の生涯と影響

小鹿範満（おしか のりみつ）は、室町時代後期の武将であり、彼の家系には複雑な背景が存在しました。父である小鹿範頼（幼名：千代秋丸）は今川家の第4代当主今川範政の子として生まれましたが、家督を巡る争いが勃発しました。範政は千代秋丸の家督継承を望んでいたものの、兄の範忠との競争に敗れ、最終的には範忠が家督を相続しました。このため、範頼は駿府の郊外にあたる小鹿を領有し、そこから小鹿という姓を名乗ることとなりました。

範満の母については諸説あり、堀越公方の執事である上杉政憲の娘との説が広まっていますが、実際にはその証拠が乏しいのが現状です。しかし、範満自身の母親に関する確たる記録は存在しないため、伝説の域を超えない評価がされています。

文明8年（1476年）、今川家第6代当主今川義忠が戦死します。この事態は、義忠の幼少の嫡男である龍王丸（後の今川氏親）を巡る家督争いを引き起こしました。範満は多くの譜代家臣から支持を受け、家督を継承することになりますが、龍王丸とその母北川殿は一時、長谷川政宣の館に逃れます。このことで、駿河国内は範満派と龍王丸派の間で数回にわたる戦闘が繰り広げられる内乱状態となりました。

この混乱に際し、範満の縁戚である扇谷上杉家の当主上杉定正が支援のため、家宰の太田道灌に兵を率いて介入してきました。一方、堀越公方足利政知も政憲を派遣して、範満を支持しました。幕府はこの混乱の解決を図り、最終的には龍王丸が成人するまで範満が家督を代行するとの和談が成立しました。

駿河館にて範満が実権を握る一方、龍王丸は法水長者の館で生活しました。しかし、範満は龍王丸が成長しても家督を返上しなかったため、龍王丸の母は再び助力を求めました。長享元年（1487年）、盛時が駿河に戻り、同年の11月9日に駿河館を襲撃します。範満は防戦しましたが、最終的には自害してしまいます。これにより小鹿今川氏は断絶し、龍王丸は新たに氏親と名乗り、今川家の当主となる道を歩むことになりました。

範満は当時「武勇に優れた武将」と評価されていますが、彼の権力基盤は後に急速に崩壊しました。特に彼の家督継承が幕府に対する反逆と見なされていたため、龍王丸の支持を受ける勢力が集まり、最終的には龍王丸の家督継承が成功するという歴史的な展開が待っていました。こうした範満の活動とその後の泥沼のような内乱は、室町時代の政治的背景に大きな影響を与えているのです。

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