上杉政憲

上杉政憲：室町時代後期、関東の動乱に翻弄された武将

上杉政憲は、室町時代後期に活躍した武将で、堀越公方・足利政知の家臣でした。上杉教朝の子として生まれ、室町幕府8代将軍・足利義政から偏諱を受け、「政憲」と名乗りました。

関東執事としての活躍

父・教朝は、将軍・義政の命により関東執事に任じられ、渋川義鏡と共に足利政知を補佐していました。しかし、寛正2年（1461年）、義鏡の讒言により、政知は扇谷上杉家の謀反を疑い、同族である教朝にも疑いをかけ、教朝は自害してしまいます。この事態を重く見た義政は、政憲を後任の関東執事として派遣し、義鏡を排除する許可を与え、政知のいる伊豆国へ下向させました。

寛正3年（1462年）、政憲は渋川義鏡を弾劾して退けると、関東管領・上杉房顕と連携して、古河公方・足利成氏の排除を計画します。寛正6年（1465年）、政憲は縁戚である駿河国今川氏の一族・小鹿範満の支援を受け、関東に出陣。上杉房顕や扇谷上杉家の太田道灌と共に武蔵国太田庄で成氏軍と戦いますが、翌年に房顕が急死したため撤退を余儀なくされました。

今川氏の内紛と政憲

文明8年（1476年）、駿河国守護・今川義忠が亡くなると、嫡男・龍王丸（後の今川氏親）と小鹿範満の間で家督争いが起こりました。小鹿範満が扇谷上杉氏と縁戚関係にあったため、扇谷上杉定正は太田道灌に兵300を率いさせ駿府へ送り込み、家督争いに干渉します。この時、政憲も足利政知の命により兵300を率いて駿府に入り、狐ヶ崎に陣を構え、太田道灌は八幡山に陣を置きました。

龍王丸の叔父である伊勢盛時（北条早雲）が、龍王丸派と小鹿範満派の間を調停した結果、内紛は収束し、政憲と道灌は兵を引きました。

主君との対立、そして最期

その後、上杉氏と古河公方の間で和解の機運が高まると、政憲は政知に戦闘継続は困難であると説き、和議を受け入れるよう促しました。また、幕府との交渉にもあたりました。しかし、都鄙和睦によって、堀越公方の支配権が伊豆一国に限定されることになり、政知は政憲を深く恨みました。さらに、政知が長子・茶々丸を廃嫡しようとした際、政憲がこれを強く諫めたことに激怒し、政憲に自害を命じたと伝えられています。政憲は、主君の命令に従い切腹し、その生涯を終えました。

政憲が自害した正確な年次は不明ですが、その経緯から、文明18年（1486年）7月に太田道灌が主君・上杉定正によって殺害され、長享元年（1487年）11月に小鹿範満が伊勢盛時によって滅ぼされた時期と相前後することから、これらの事件と何らかの関連性があった可能性も指摘されています。

上杉政憲は、激動の室町時代後期に関東で活躍した武将であり、その生涯は、複雑な政治情勢に翻弄されたものでした。

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